食糧事情(3)
首都の市場に行けばキャベツやトマト、ナス、ピーマン、イモなど、さまざまな食材が並んでいる。季節によって採れるものが変わるので、トマトが大量に出回る時期になればトマトは安くなるし、サラダ菜が出る時期になればサラダ菜は安くなる。ニンニクや唐辛子、ショウガといった食材もあり、きちんと自炊していれば食生活にはあまり困ることはない。
とある知り合いの日本人は、首都の市場に並んでいる野菜を見て、「鳥が食べるような、かたちの悪い食材だらけ」と言ったが、私はあまり気にならなかった。たしかに、ときどき虫が食べたような小さい穴の開いたキャベツがあったり、野菜にハエがたかったりしているが、そこは我慢である。これを食べないと生きていけない。ちなみに、ニジェール人はあまり野菜を食べないようである。
ニジェールは内陸国だが、アフリカ第3の大河、ニジェール川が流れているため、川魚が取れる。油で揚げて食べるのが一般的である。揚げたてを、よくスナック感覚で食べていたものである。市場にはその日あがった魚が売られており、鯉やナマズのような魚が並んでいる。種類はそこそこ豊富なようだ。
値段は高いが、海魚も買おうと思えば買うことができる。乾物屋もあり、乾燥エビや小魚、鰹節状になった魚も売っており、そのまま酒のつまみにできるようなものもある。また、海の魚は冷凍のものが輸入されてくるのだが、私はときどきそこで川魚を購入し、売っている中国醤油としょうがで煮つけてみたり、さばいてソテーして食べてみたりと色々実験を繰り返してみた。結論からいうと、川魚に比べて海魚のほうが身がしまっていて、料理しやすいし、おいしい。
ニジェールはイスラム教の国なので、豚は食べない。羊、ヤギ、牛などが主である。町を歩いていると、羊の肉をバーベキュースタイルで売っているのをよく見かける。朝一でさばかれた羊の肉を売っているのだ。肉は新鮮でおいしい。もし、ハンバーグを作りたければミンチ機を持っている肉屋に行き、頼めば牛の肉をミンチしてもらうこともできる。豚肉も、首都に3件しかないスーパーに行けば手に入るので、トンカツも作ることができる。しかし、トンカツにかけるソースは売っていないので、日本から持ってきたり、中国醤油で代用したりと、ひと工夫が必要になるのだが。
【廣瀬】
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