次に貸借対照表の状況をみていきたい。
以下は、純資産額、総資産額・自己資本比率の推移である。
上記の表からも分かるように、ここ数年の自己資本比率は良化傾向にある。もう少し遡った2001年3月期には30.8%(連結)であったことからすれば、09年3月期末の自己資本比率38.2%は、かなりの改善が進んだというべきであろう。ちなみに、一般的な自己資本比率の目安は概ね30%とされ、これが中小企業なら申し分ない数字といえる。
もっとも、同じく電力系の工事会社である(株)四電工や(株)きんでんの自己資本比率はいずれも58.6%、比較的低い関電工でも44.6%となっており、これに比べるとやや見劣りする感は否めない。電力系他社は工事部門に経営資源を集中させていること、逆に九電工は次々に異業種の関係会社を立ち上げてきたこと、これらが必ずしも軌道に乗ってこなかった経緯などを考えあわせると、九電工の場合には、かかる分野で過去に資産の流失があったものと推察される。
なお、貸借対照表を概説すると、資産合計は08年3月期末に比べて158億9,400万円減少して2,238億7,500万円。これは株式等の時価の下落に伴って投資有価証券や繰延税金資産が減少したことが主な原因となる。他方、負債合計は1,375億4,500万円となり、こちらも前期末から176億9,600万円の減少。なかでも、短期借入金95億9,700万円の減少や仕入債務73億9,400万円の減少が目を引く。純資産合計は18億円程度増加して863億3,000万円となり、最終的な自己資本比率は上記の通り38.2%となった。
(つづく)
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