今年6月に発覚した日高食品の「科学的・合理的な根拠のない賞味期限の設定」は、エツヒロの産地偽装事件よりも業界に与える影響は深刻である。何故ならエツヒロは下関の一水産加工業者が、自社の存続のために単独で行なった違法行為であるが、日高食品のJAS法違反は、フグの加工品業界だけではなく、水産加工品業界では想定外の出来事ととらえられている。つまり、フグの加工品業者として下関を代表する日高食品への農林水産省の立ち入り検査によるJAS法違反の指摘は、同業他社も従来の商慣習としてきた行為であったからだ。
日高食品は7月21日までに改善報告書を提出している。「水産の町下関市」の名を汚すだけでなく、消費者の信用・信頼を失った責任は重いものがある。一方、マスコミ対応に追われた代表子息の非業の死は、代償として余りあるものがある。全社一丸となり、亡くなった子息のためにも信用回復に最善を尽くすことが最大の供養と思われる。
ところで、日高食品のJAS法違反から3カ月後、水産加工業者・下関水陸物産㈱から三度目の「偽装」、つまり賞味期限の不適切表示が発生した。折りしも、自民党から民主党に政権交代した時期、国民目線の立場から果たして農水省がどのような対応をするのか、下関のみならず山口県の水産業界は固唾をのんで見守っている。
以下、日高食品より提出された「改善報告書の概要」を掲載する。
1.表示の点検について 農林水産省より受けた改善指示の中に表示を点検に関する項目があり、それを受け取り扱い商品すべてを対象として表示に関する点検を行いました。製造日及び賞味期限が判明しない商品については出荷停止とし、取り扱わないこととします。 2.不適正表示の原因究明等について 3.改善策(再発防止策)について 上記のとおり改善策を報告します。今後は関係法令を遵守して再発防止に努め、安心・安全な商品作りに努めて参ります。 以上 |
【特別取材班】
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