07年福岡県知事選での4,000万円近い政治資金の流用が問題となっていた福岡2区の稲富修二衆院議員が、同選挙の余剰金分1,900万円を民主党側に寄附したことが明らかとなった。
稲富氏は10日に開かれた同党福岡県連の常任幹事会の席上、疑惑が持たれた1,900万円を県連に「返した」と報告したという。県連関係者によると、先月28日、知事選選対本部長だった古賀友行元県議が「預かった」うえ、さらに別の財界人に「現金の形で預けた」としていた選挙余剰金が稲富氏側に振り込まれ、さらに稲富氏側から県連に入金されたとしている。
しかし「返金」の話は、県連の常任幹事会で報告されながら、記者団へのブリーフィングさえなされていない。税金を使った選挙ロンダリングの疑いを持たれ、釈明会見まで開いておきながら、説明責任を果たさない稲富氏と民主県連の無責任さはあきれるばかりだ。なぜきちんと会見を開き、説明をしないのだろう。
一部の報道機関が「返金」と報じたものの、記事では誰からどのように金が動き、なぜ民主党側に寄附したのかさえ明らかにされていない。事件終結を連想させるが、疑惑は何も解明されていないのだ。第一、「返金」とは借りたものを返すことである。稲富氏は知事選推薦料4,000万円を借りていたのではなく、もらっていたはず。民主党側へ1,900万円を入金した稲富氏側の行為は、自分の金を県連に「寄附」したに過ぎない。あえて「返した」「返金」との言葉を使うことで、きれいな印象を与えようとしているのだろうが、それは真相を隠蔽するための方便でしかない。しかし、稲富氏をめぐる金の動きは、そう簡単なものではないのだ。この点については、特集記事の中で明らかにしていく。
データマックス取材班は、稲富氏が「間違いがないよう答えるため、質問等は書面でいただきたい」と申し出たため、きょう、同氏側に「質問状」を提出する。