ここまで下関の水産業界で発生した「偽装」について連載してきたが、製造年月日や賞味期限に関する問題はなにも水産業界に限ったことではない。報道された一連の「偽装」事件を受けて、他の食品業界ではどのような対応をしてきたのかを取材した。
シズカコーポレーション(株)
所在地:下関市椋野町3-13-18
代 表:片野 静次
資本金:4億650万円
設 立:1952年8月
年 商:(09/7)約24億円
業 種:食肉卸売ほか
従業員数:424名(含パート、アルバイト)
―一連の水産業界の「偽装」事件を受けて、同じ食品業者の立場としてどのように思いますか。
片野 弊社は食肉業者ですが、製造年月日や賞味期限の問題は常に付きまといますので、改めて考えさせられました。
水産業界と異なり、食肉業界は厳格なトレサビリティー制度があります。現在では爪先ほどの肉の破片からでも誰が、いつ、どこの牧場で育てたか、流通プロセス等、生産から消費者の手元に届くまでの過程が即座に判明します。
―BSE問題の発生がそのような厳格な制度を生んだのですね。
片野 そうです。肉を遺伝子レベルで登録し、全てコンピュータで管理しています。もちろん、そのような設備の導入には多額の投資が必要です。資金的な面で全ての食肉業者がこの設備を導入できる訳ではありませんので、食肉業者は一時期と比較すれば半分が淘汰されました。
―農水省や保健所の立ち入り調査はありますか。
片野 頻繁にあります。色々な業界で「偽装」が発覚したことで、消費者の目は一段と厳しくなっています。安心・安全な商品を提供するための義務が我々にはありますので、立ち入り調査では全てを公開し、協力しています。
―食肉業界と比較して水産業界は製造年月日や賞味期限に対する考え方が甘いのでしょうか。
片野 水産業界について詳細は把握していません。しかし、結果として甘いと言われても仕方ないのではと思います。確かに加工品については、製造年月日の規定が明確ではない等という話が聞き伝わってきます。早急に官民あげて統一した製造年月日を定める努力が必要であると思います。そうしないと、水産業界が衰退してしまいます。
【特別取材班】
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