4月の市長選で現職の石田宝蔵氏を破り、初当選を果たした金子健次・柳川市長。「柳川を変える」と訴え、「誠実」で「公正」な政治の実現を掲げて就任から6カ月を経過した。10月中旬、弊社のインタビューに応じた金子市長は、市民や議会に対する説明責任を果たし、行政と市民の信頼関係の回復に努めるとの抱負を語った。また、「水郷・柳川」にふさわしい観光産業に力を入れるとともに、農業・漁業者が将来に展望がもてる街づくりを目指したいとの意欲も示した。おりしも民主党政権が誕生し、中央政府と地方自治体の関係が転換を迫られるなか、柳川の振興にとっても課題が多いことも明らかとなった。
―産業としての農業を担っていく人たちが出てくるような施策が重要ですね。さて、柳川は「川下り」で有名ですが、観光振興についてはいかがでしょう。
金子 柳川は観光の街ですが、現在観光客は年間120万人を割り込んでしまいました。しかし、九州自動車道のみやま・柳川インターが完成し、アクセスも便利になりました。また、2011年春には九州新幹線全線開通で近くに筑後船小屋駅も新設されます。こうしたことを考えると、福岡都市圏だけではなく、新幹線を利用して九州に訪れる関西・関東からの観光客を、積極的に呼び込むチャンスではないかと思います。今は「通過型」の観光が主で、「川下り」と「うなぎ飯」で1人当たり5000円ほどしか消費されていません。頭打ち状態になっている観光客数と観光収入を増やすためには、リピーターを増やしていくことが必要です。川下りコース沿いに「かわの駅」を設置し、観光客がより楽しめるように工夫していきます。そのためには、観光協会や川下り関係者との協力・連携が不可欠です。11月1日から、詩聖・北原白秋をしのぶ「白秋祭」が始まります。白秋祭は、夜に130艘余りのドンコ船が出、沿線は多くの催し物が行なわれます。西鉄の社長にもお会いし、「積極的応援していきたい」という言葉をいただききました。
柳川には川下りのほかに、白秋祭が毎年開催されていますし、中島の朝市や中山の大藤、神社仏閣など歴史的な観光資源も多くあります。川下りにとどまらず、いろんな観光を結びつけ、「点」の観光から「面」の観光へと発展させていけば、より多くの魅力を発信することができるのではないでしょうか。また、農漁業と連携して、「体験型民宿」などの取り組みを本格化させたいと思っています。さらに、有明海クルージングなども企画していけば、観光に厚みが出てくるのではないでしょうか。
―ストーリーを作って、仕掛けをしていく必要があるでしょうね。
金子 柳川は水が「いのち」です。市内には、全長930キロにも及ぶクリークが網の目のように張りめぐらされています。近年、生活廃水や事業所排水が流れ込んで水質が悪化してきていますが、「掘割を守り育てる条例」を生かしながら、市民総ぐるみでの清掃やヘドロの再利用などを進め、水の浄化を推進していきます。下水道が未整備の地域には、個人が設置する小型合併処理浄化槽への補助金を上乗せすることで設置が進んでいき、水の浄化にも貢献するものと思います。
(つづく)
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