衆院福岡2区で初当選を果たした稲富修二氏陣営による巨額政治資金流用問題は、07年の福岡県知事選時に動いた金をめぐるものだ。遡れば06年・福岡市長選挙の不自然な政治資金の動きにもたどり着く。中心にいたのは両選挙で選対本部長を務めた古賀友行元県議である。古賀氏が一切の取材を拒否する姿勢に転じたため、真相を語る義務を負うのは、「国会議員」となった稲富氏だけである。
しかし、稲富氏は先月4日の釈明会見で古賀氏が持ち出した「現金の形で財界人に預けた」とする虚構に同意したばかりか、その後も公式には説明責任を果たそうとしていない。あげく、自身の口座に振り込まれたとする選挙余剰金1,900万円を県連に返金したという。
1,900万円が、古賀氏以外の第3者によって作られたことは昨日報じたとおりだ。稲富氏は全てを承知しているはずである。
さらに昨年、稲富氏が自身の資金管理団体「いなとみ修二後援会」に貸し付けた500万円の原資についても「預貯金から」、などというふざけた回答に終始している。500万円の原資は前述の選挙余剰金以外に考えられない。稲富氏のこれまでの説明は、明らかな「嘘」である。議員の地位にとどまることが許されるはずがない。
稲富陣営の政治資金流用の構図は、民主党本部から支出された(つまり大半が税金)金を一時的に何者かが流用。その後、問題が大きくなるたびに県連関係者が資金繰りをして穴を埋めるというものだ。関係者による数々の証言や、収支報告書の記載が如実にそれを物語っている。
明日は、関係者の証言をまじえて稲富陣営の金の動きを検証する。
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