社長の仕事1
会社が危機を迎えると、合理化や改革といった多くのエネルギーを必要とし、またそれには多大な苦痛がともなう。もちろん、社員にも多大の負担を強いなければならない。しかも、それをやったところで成功する保証もない。
ここまで会社を追い込んでいるのは、経済危機のせいだけではない。経営者の「怠慢」が対応を遅らせ、合理化を叫ばなければならない事態にまでなったことを認識せねばならない。責任の所在は、歴代の社長以外の他にはない。
その反省もなく、多くの部下に長年のキャリアを捨てさせ、経験もない職務に、しかも妻子を置いての遠い地への赴任を余儀なくさせている。社員とその家族に、不安と悲しみを作り出している会長と社長の責任は、重大と言わざるを得ない。やむなく合理化や改革をやらねばいけないのだとしても、もし、坂本や斎藤に「我に責任あり」「非は自分たちにあり」との認識があるのであれば、もう少し謙虚に、自分たちの「減俸を含めた処分」をしたうえで、社員にこの苦難を乗り越えるための協力をお願いするのが筋であろう。
内部告発されるということは、「内部告発が起こる土壌」を作ってしまった歴代社長が反省すべきことである。すべては、内部の不平不満、意見の不一致を解消するシステムを作ってこなかった歴代社長に責任があるのである。
斎藤社長は、「自由闊達な社風にしよう、社内の風通しを良くしよう」と言っているが、そんな建前だけのうわべの言葉で、日頃から暴君のもとで無理やり抑えつけられている社員たちが、本音を言うわけ、言えるわけがない。
内部告発とは、現場の人間が社内で不都合なことが起こっていることを明らかにしようとしても、上司に聞いてもらえない、トップに具申しようとしても上司にふたをされてしまう、ことから起こってしまう。「良心」を持った正義に燃える人が、やむをえず外部に告発してしまうのである。
「風通しを良くしよう」と建前を言ったところで、組織が機能していなくては何の意味もなさないのである。
(これはフィクションであり、事実に基づいたものではありません)
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