岡田克也外相が23日の閣僚懇談会で、国会開会式における天皇陛下の「お言葉」見直しに言及した。
「陛下の思いが少しは入ったお言葉をいただけるような工夫を考えてほしい」と宮内庁に注文をつけた形の岡田発言は、政権の座についた民主党の思い上がりとしか言いようがない。
日本国憲法第3条は「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ」と規定するが、「お言葉」は国事行為ではない。さらに同第4条では「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」とされる。
しかし、天皇陛下が国会開会の都度「思いが入ったお言葉」を発していては、その時々の政治や社会情勢に大きな影響を持つことになる。政治的中立が保てなくなる可能性が強い。岡田外相の「お言葉」見直し発言は、政治が天皇陛下に「政治的発言」を要求したことになり、「国政に関する機能を有しない」とする憲法の精神をも否定するものであろう。
同発言には、党内外から厳しい批判が相次いでいるが、民主党の危うさを露呈したものともとれる。
日本郵政社長に元大蔵次官・斎藤次郎氏を起用し、「脱官僚」「天下り禁止」の旗印をあっさり捨て去った鳩山政権。数の力と高支持率にあぐらをかいての「思い上がり」が顕著になれば、自民党と同じ道をたどることになるが・・・。
【秋月】
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