25日に行なわれた神奈川、静岡両参院補選で民主党の新人が勝利した。とくに、静岡選挙区は自民の議席が民主に奪われたかたちとなり、自民のショックは大きいだろう。この選挙結果で民主党の政権運営に弾みがつき、新たに自民党総裁に就任した谷垣氏は出鼻をくじかれた格好だ。自民党の敗北によって、自民党は再生どころか、このまま沈没してしまう危機が現実のものになろうとしている。
谷垣禎一氏が自民党の新総裁に選出された際、「谷垣氏では自民党は再生できない」という声が先の総選挙で落選した議員からも聞こえてきたが、両補選の敗北をうけ、ある県議は「谷垣総裁は、調和のとれた方ではあるが迫力に欠ける。どうも存在感が足らないのではないか」と不満を語る。
谷垣新総裁は、就任早々「政策論争が大事だ。それが党の再生につながる」と抱負を語っていたが、就任以降それらしき姿が見えないのが現状だ。
八ッ場(やんば)ダムの問題についても、自民党としての態度は明確ではない。さらに、民主党政権が取り組んでいる公共事業見直しや沖縄の米軍再編と沖縄の負担軽減、財政赤字、補正予算への切り込みなどは、歴代の自民党政権が残した問題である。これらに対して「揚げ足を取る」ような批判ではなく、野党としての攻めの姿勢―戦略的な対応が必要ではなかろうか。
「党内の調和」を優先させるのではなく、党内が対立しようとも民主党との政策の対立軸を鮮明に打ち出すことが必要だ。そうでなければ、来年の参院選で再生の足がかりにするどころか、国民をひきつけることができないまま没落の道を歩むことになろう。
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