このところ、地球温暖化を防止するための様々な試みが展開されるようになってきた。温室効果ガスの排出権を扱う市場の創設やポスト京都議定書にアメリカがカムバックしてくる動きも見られるようになりつつある。
オバマ大統領は「緑のニューディール」政策を掲げ、代替エネルギー政策とそのビジネスモデル化に積極的に資金や人材を投入し始めている。来たる12月にはオランダの首都コペンハーゲンで国連気候変動枠組み条約第15回締結国会議(COP15)も開催される。192カ国から2万人の代表が集まるという。
こうした動きの背景には、地球環境の悪化という人類にとって未曽有の危機的状況が迫っているとの認識が共有され始めたことが影響しているに違いない。ところが最近、一部の科学者の間では「地球温暖化が進むと、その先にはミニ氷河期の到来が待ち構えている」と言った議論が急浮上してきた。
実際、地球温暖化をもたらしているはずの原因の一つである太陽に関しても、その活動が200年ぶりの低水準に落ち込んでいるというではないか。デンマークの太陽黒点数データセンターによれば、「黒点の多さを表す相対数が2008年には過去100年の間で史上2番目に少ない状況であった」という。2009年にはいり、さらに黒点の数は減少を続けており、今年前半までの暫定値でみると、何と1810年以来という記録的な低水準にまで落ち込んだとみられる。
ちなみに、太陽活動は約11年周期で活発になったり、静かになったりというパターンを繰り返している。その指標となるのが黒点である。黒点の周辺では爆発現象が多く起こっており、黒点が多いほど太陽の活動は活発ということになる。
加えて、太陽の活動には数百年の周期でより大きな変動も観測されている。例えば、17世紀から18世紀にかけての約70年間においては、黒点がほぼ消えてしまい、結果的にヨーロッパではイギリスのテームズ川が凍るなどミニ氷河期に突入したのである。
【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。
ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊はオバマ新政権の環境エネルギー戦略と日本への影響を分析した『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)。近刊には『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。
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