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未来トレンド分析シリーズ

地球の未来は温暖化か氷河期の再来か(2)
未来トレンド分析シリーズ
2009年10月27日 10:59
国際未来科学研究所代表 浜田和幸

 東京大学の宇宙線研究所の宮原ひろ子特任助教授曰く「ここ1000年に限ってみても太陽活動の極小期が5回あり、前回は1800年ごろであった。歴史的にみれば、そろそろ次の極小期に入ってもおかしくない」。いわば、地球がミニ氷河期に再突入する可能性が出始めたという訳だ。

 こうした事態を受け、我が国の国立天文台でも緊急の検討会を開くことになった。これまで地球温暖化の危機が叫ばれてきたにも拘わらず、なぜ突然のごとく氷河期の再来といった全く逆の気象変化が議論されるようになったのであろうか。

 理由は極めて単純明快である。現在の地球は赤道付近の低緯度の地域で温められた海水が地球の自転によって発生する巨大な潮流に乗って高緯度地帯に熱を運んでいる。そして北極や南極といった高緯度地帯で熱を放出した後、冷却して比重が増した海水は海底へ沈みこみ、再び低緯度の地域に向かって流れ始めるのである。こうしたメカニズムで海水は熱を低緯度から高緯度へ、そして再び低緯度へと循環させる役割を担ってきた。

 ところが、地球温暖化により極地の氷が次々と氷解し、海に流れだすことによって、大量の真水が発生するようになった。この真水によって低緯度地帯から流れてきた海水が薄められ、比重が低下するのである。そうすると、海底に沈みこむ力が失われてしまう。実際、北極の氷は1970年頃から、10年ごとに3ないし4%も溶けだしている。

 具体的にはノルウェーの近海では冷たく高密度の海流が1950年以来、少なくとも20%は減少しており、海流が弱くなっているという。このような現象が各地で発生するようになれば、海流の循環がストップしてしまう。要は極地を温める要因が取り除かれることになるわけで、地球の冷却化が加速するという現象が起こりうるのである。

 こうして、北極や南極の氷床が拡大を続ければ、太陽光を反射するため地球は一気に寒冷化に向けたサイクルに再突入することになる。数年前に日本でも公開されたアメリカの映画「The Day After Tomorrow」で描かれた、突然の気候変動が現実のものになる可能性は否定できない。

(つづく)

【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
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 国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。

 ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊はオバマ新政権の環境エネルギー戦略と日本への影響を分析した『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)。近刊には『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
 なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
 テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
 その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
 また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。

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