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時価総額数十億円の個人資産 鳩山故人献金の「原資」は?(2)
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2009年10月28日 08:00

<日本友愛青年協会「運営には関与せず」>
 同協会設立時の理事長は、一郎夫人の薫氏。理事には川崎秀二氏(元厚相)、永野重雄氏(元日本商工会議所会頭)、石橋幹一郎氏(元経団連副会長)ら政財界の有力者(いずれも故人)が名を連ねていた。薫氏死去後の理事長は一郎氏の長男で、由起夫氏の父である威一郎氏(元外相)に引き継がれた。威一郎氏死去後の現在は、名誉会長が威一郎夫人の安子氏、理事長が由起夫氏(休職中)、弟の邦夫氏が副理事長である。 
 「威一郎氏が亡くなる15~16年前まで、自宅として夫婦で住んでいた。それが、威一郎死去を機に改装修理して一般公開するようになったが、あのとき相続税か固定資産税絡みで区役所とモメている。あのときは一般への無料開放を条件に、財団による管理運営を認めるということで決着。タダなら行ってみたいという人を案内したが、確かに無料だったから財団にしたんだろう、と。それが有料じゃおかしい」(村本氏)
 老朽化した鳩山邸が修復改装されたのは、威一郎氏の死去から2年後の95(平成7)年。翌年に鳩山会館として新装オープンしたが、現在は大人500円、学生300円、中・小学生200円の入館料が必要だ。それでも、鳩山政権誕生によって鳩山会館の注目度が一躍アップ。いまでは来館者も急増して、1日何台もの観光バスが出入りするほどの人気スポットになっている。
 館内には一郎氏や威一郎氏の遺品や足跡の記録が展示され、大広間は100人ぐらいでのパーティ、集会場として夕方5時から5万円で貸し出されていた。もっともこの9月からは「規約変更により、鳩山家と何らかの関係がある人か、その紹介者に限ることになりました」(同会館)という。
 会館の館長は、日本友愛青年協会常務理事の川手正一郎氏。協会ホームページによれば、96年の新装オープンの告知をはじめ、創立50周年記念集会、日ソ共同宣言議定書調印50周年勉強会など、協会の主要イベントが同会館で行なわれている。財団運営ならば同協会となるので確認すると「鳩山会館は協会の施設ではありません。運営にも協会は関与していません」(事務局)という。

<個人事業は節税対策?持てる者の絶えない苦労>
 土地、建物を確認すると、確かに威一郎氏死去時の93年に、安子氏に相続されたまま現在まで移動はない。安子氏は住所こそ同会館に置いているが、改修を機に引っ越して会館には職員しかいない。会館の運営主体は誰で、職員はどこからきているのか。
 同会館の大竹範事務局長によれば、「施設も運営も鳩山安子個人で、スタッフも友愛青年協会の元メンバーなど個人的な繋がりで来ています」というわけで、実態は安子氏の個人事業だ。新装オープンにあたって、区役所とのやりとりの末に個人事業を選択したと思われるが、入館料を取れば当然ながら個人事業税がかかる。
 「個人事業税の対象業種は70種。対象外業種は非課税」(東京都主税局)だが、建物や庭を見せることは対象外でも施設を貸すことは対象となり、同会館の場合は微妙。鳩山会館同様に入場料500円で自宅の庭を公開して、会場貸しや軽食提供もしている造園業のA氏は、「個人事業は完全な赤字。しかし、納税は会社組織としての造園や不動産、山林経営などとトータルにしているから、個人事業は節税にもなる」という。
 日米を往来すること40年、国内外の政財界裏表に通じている商社経営者B氏によれば、
 「いまの鳩山会館のスキーム(枠組み)を作ったのは、友愛青年協会の創設メンバーでもある川手氏。もともと金融関係から政界人脈をつくった人物で、鈴木敏文・イトーヨーカ堂会長らとの関係が深い。彼なら、鳩山家のためにいろいろとアイディアを出しているはず。それらファミリー個々人の資産管理すべてをみているのが、石橋家の資産管理会社の六幸商事。原資の税務問題はクリアできても、仮に海外にプールしてあるものを持ち込んだりしていたら外為法が絡んでくる」というわけで、持てる者もそれなりの苦労は絶えないようだ。

(了)


恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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