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東京レポート

JALの生殺与奪権を握る 産業再生機構OBたちの「手腕」(下)
東京レポート
2009年10月 6日 08:00

パシフィックHD架空増資事件
 再生機構のOBたちの、その後を見ると不安が横切る。なかでも、再生チームの中心になる冨山和彦氏への風当たりが強い。再生手腕に首をかしげざるをえない面が目立つからだ。
 冨山氏は東大法学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、コーポレイトディレクション社設立に参画。産業再生機構では専務取締役COO(最高執務責任者)を務めた。ダイエーの再生を指揮したことで知られ、再生機構のスター的存在であった。
 07年の再生機構の解散後、再生機構OBたちとコンサルティング会社「経営共創基盤」を設立し、社長に就いた。資本金は56億円。オリックスなどの大企業が、議決権なしの優先株を引き受けて出資した。「再生機構出身」というブランドがものをいったのは言うまでもない。
 再生指南役として大チョンボしたのが、今年3月に会社更生法を申請した不動産ファンド「パシフィックホールディングス」事件である。
 経営不振に陥ったパシフィックHDは昨年11月、経営共創基盤の100%出資子会社の中柏ジャパンを窓口にして、中国の不動産業者から476億円の資金を調達すると発表した。これが、とんだ与太話だった。中国マネーは入ってこず、パシフィックHDは倒産した。
 経営共創基盤にパシフィックHDの支援話を持ち込んだのは、パシフィックHDの社外取締役を務めている公認会計士の菱田哲也氏。冨山氏の東大法学部のスキー仲間である。かつて冨山氏が再生機構入りする際、経営陣の1人に菱田氏を推薦したが、菱田氏の個人人脈に危惧を抱いた財務省が異論を挟み、正式メンバーになれなかった人物だ。
 指南役を引き受けた冨山氏が組み立てたパシフィックHDのファイナンス計画が、中国マネーを引っ張ってくるという案だったわけだ。

株価操作の片棒を担がされた(?)
 この事件には怪しげな中国人が登場する。「中柏グループ」なる中国資本の企業集団の総帥を名乗るが、真偽のほどは定かではない。経営共創基盤は、この奇怪な人物と顧問契約を結んで、中国マネーを引き出そうとしていたのである。
 この詐欺ともいえる事件は、株価操縦の疑いがもたれた。ファイナンス計画が発表後、パシフィックHDの株価は80%以上も急騰。その際、売り抜ければボロ儲けができる。資金調達計画は株価操作に利用された疑いがでてきた。「冨山氏は株価操作の片棒を担がされたのではないか。脇の甘さにもほどがある」(金融関係者)と評価はガタ落ちした。
 パイオニアの再生話でもミソをつけた。パイオニアは今年4月、公的資金300億円を使った資本増強策を打ち出したが、アレンジ役をつとめたのが冨山氏だ。
 冨山氏は東大法学部の同級生である経済産業省の住田孝之・情報通信機器課長との間で、資本注入を検討した。両者の個人的な話にとどまっていたので、その課長がベルギーに転出すると、公的資金注入話は立ち消えになった。パイオニアはぬか喜び。罪つくりな話だ。
 「あのチームは企業をつぶして、売却することしかしなかった。再生の実績はほとんどない」とメガバンク関係者は吐き捨てる。冨山氏が中心になって進める「JAL再生チームタスクフォース」の再生手腕については、不安がいっぱいだ。

(了)

【日下 淳】


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