今年5月、民主党の新代表に就任した鳩山首相は、代表就任の記者会見において、フリージャーナリストの質問に答える形で次のように明言した。
「私が政権を取って官邸に入ったら(会見を)オープンでやっていく」
「記者クラブ制のなかでは批判もあるだろうが、(会見には)どんな方も入っていただき、オープン性を高めていく必要がある」。
会見をオープンにして、海外メディアをはじめ、フリージャーナリスト、雑誌も入れるというものだ。記者クラブ制度の否定にもつながると見られていたこの発言、報じた大手メディアは皆無に近かったが、「NET-IB」は鳩山民主党の最大の公約として5月18日に記事を掲載した。
総選挙で民主党が大勝し、鳩山政権が誕生した。鳩山首相は「官邸に入った」が、会見フリーの約束はどうなったのだろう。政権奪取からひと月が経った10月2日、会見参加申し入れのため総理官邸を訪れた。
官邸前に居並ぶ警備陣。会見参加の申し入れの要望書を渡すだけだと説明するが、用事があるなら電話を入れろと言う。折からの雨と相まって「閉ざされた官邸」の冷たさが実感される。やむなく指示されたとおり官邸に電話を入れた。官邸の担当職員による話は、驚くべきものだった。
(つづく)