空室が目立つ福岡ビジネス地区の新築ビル。三鬼商事(株)福岡支店の調べによると、9月末時点での新築ビルの空室率は54.84%と依然として冷えたままで推移している。しかし、今後新規供給が減るため、徐々にではあるが改善の方向に進むに違いない。
ここ1年間は新築ビルの竣工が相次いだため、新築ビルの空室率や動向ばかりに目が向いていたが、一方で既存ビルの空室率悪化も深刻な状況だ。9月末時点での福岡ビジネス地区の既存ビル空室率は13.23%。1年前の同月は8.22%でおよそ5%も上昇している。空室の埋まらない新築ビルが時を経て既存ビルの枠組みとなり、それが空室率を押し上げていることも原因の一つ。しかし、支店経済都市である福岡においては支店撤退などの動きも悪化の大きな原因となっている。「1フロアの2/3を借りてくれていた某企業の支社が撤退した。今のご時世で誘致するのは難しい」とあるビルオーナー。景気は底打ちしたと言われるが、周囲の状況を見れば、まだまだ『実感なき底打ち』と言わざるを得ない。
※新築ビル(2008年10月~2009年9月以前に竣工したビル)
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