福岡2区・稲富修二衆院議員陣営の政治資金流用問題は、07年の福岡県知事選における選挙余剰金1,900万円を民主党側に「返した」ことで終わったわけではない。肝心の稲富氏は、今日に至る一連の金の動きについて一度も説明責任を果たしていない。
その稲富氏は、昨年5月、自身の資金管理団体「いなとみ修二後援会」に500万円を貸し付けていた。
資金管理団体制度は、政治家の政治活動に関する金をガラス張りにするため、政治資金規正法で定められたものだ。関連政治団体のなかから、政治家自身が代表に就任したうえで資金管理団体であることを指定することが義務付けられており、「政治家の財布」とも言われる。
つまり、稲富氏は自分の財布に500万円を貸しているのだ。もちろん、貸した金はいずれ返ってくることになる。妙な話である。
自分の資金管理団体に寄附すれば済むものを、わざわざ貸し付けた形にする必要があるのだろうか。これは、自分の金は政治活動で費消せず、懐に戻す手法でしかない。返済原資が民主党からの寄付であれば、自分の貸付金を税金で回収することになる。政治家としての良心を疑わざるを得ない。
それでは、稲富氏が貸し付けた500万円は、どこから生まれた金なのだろう。13日、稲富氏の要請をうけて「質問書」を同氏の事務所に届けた。まともな回答を期待したいが、問題の500万円については、検証をつづけて見たい。