気鋭の新人代議士が、従来型の陳情政治に一石を投じた。
福岡7区を地盤とする民主党・野田国義衆院議員(九州比例)は15日、申し入れのあった地元首長らの集団陳情を受けず、自ら各自治体を訪ね、ひざ詰めで話を聞くことを各市に連絡。報道各社にもその趣旨を説明する文書を送った。
福岡7区は、8月の総選挙で自民党のミスター公共事業・古賀誠氏と民主新人・野田氏が激突。その戦いは全国の注目を集めた。「朧大橋(別称・誠橋)」「有明海沿岸道路(別称・誠道路)」に代表される大型公共事業による地域振興を推進してきた古賀氏に対し、4期16年間八女市長を務めた野田氏は自他ともに認める改革派。選挙時からムダな公費支出の是正を訴えてきた。
大牟田市、柳川市、八女市、筑後市、みやま市など5市の市長は、総選挙では古賀氏を全面的に支援した。しかし、野田氏の比例復活当選と歴史的な政権交代で状況が一変。あわてた市長らの野田氏参りが続いていたが、大型公共事業の継続に黄信号が点滅し始めたため、5人の市長が揃って野田、古賀の両代議士に事業継続などの申し入れを行うことを決めたという。集団陳情である。
野田氏は、データマックスの取材に対し、次のように話している。「自民党は、『陳情』を受け、官僚に働きかけることで行政を動かし、票と政治資金につなげてきました。陳情政治の弊害が叫ばれて久しいですが、まず、国会議員と首長の意識から変えなければなりません。私が直接地元自治体に出向き、じっくりとお話を聞くほうが効率的であり、ムダも省けるでしょう。(前述の)五つの自治体はそれぞれの地域事情、財政事情があり、お話の内容も違うはずです。集団で来られることはないんです。私のほうから喜んで出向かせてもらいます」。
集団陳情の要請を受けた野田氏は、自民党政治との決別を印象付ける狙いもあって、今回の決断を下したと見られる。新たな試みに拍手を送りたい。