―テムザックの動きを中心とした同時代レポート
《宗像市に移転し、新しい研究センターで医療介護向けの新しいコンセプトのロボットを発表》
昨年のリーマンショック以来、厳しい経済状況が続いているが、その中で次々に新しい話題を提供してくれているのが「自律型ロボット」である。
工場内など固定された場所で効率的に組立などの作業を行なう「産業用ロボット」は既に大きな市場をつくり上げている。一方、ロボット自体が自律して移動したり、コミュニケーション能力を持つなど、より人間生活に密着した高度な機能を備えた自律型ロボットの実用化・産業化は、高齢化社会の中で医療介護などの分野で活躍が期待される今日でも、まだ時間がかかると言われてきていた。
しかしこの数年、自動車、家電、機械メーカーをはじめ、様々な国内外の企業が次々に独自のロボット試作機を発表し、自律型ロボット産業への先行投資が進んできているのも間違いない。
ただこれまでのところ自律型ロボットビジネスの成功モデルはほとんどなく、本当に産業として成り立つのか、どこに市場の出口が見えてくるのだろうか、という疑問の声も聞かれる。
そこで、この九州の地で世界に先駆けて多くのロボットを開発し、話題を提供し続けている株式会社テムザックの動きを中心に、自律型ロボットの産業化の進み具合を検証する「同時代レポート」を連載する。
テムザックは2000年に北九州市小倉北区に設立されたが、今年5月、宗像市の旧・玄海町役場跡に移転している。
ロボット技術の世界的研究者や医療の専門家とテムザックが共同で、「社団法人ベーダ国際ロボット開発センター」を設立し、その本部として宗像市を選定したのに伴い、テムザック自体も広大な敷地があり研究開発環境の優れた場所に移転を決めたものだ。
【松尾 潤二】
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