―テムザックの動きを中心とした同時代レポート
《自律型ロボットは、個人個人のネットワークによるパソコンが急拡大したと同じように、身近なところでいつでも便利に使えることが市場での普及のポイントだろう》
ではテムザックやベーダ国際ロボット開発センターが開発してきた、ロデムをはじめとした自律型ロボットの実用化がこれからどのように進むのであろうか。
9月29日から10月1日まで東京ビッグサイトにおいて開催された「第36回国際福祉機器展」で、多くの福祉介護用ロボットが展示されていたが、その中でロデムは一番の注目を浴びていた。
一般の観客として来場していた歩行障害のある方は、「こうした移動器具を早く実用化して欲しいと思っていました。他の人に手伝ってもらう必要がなく、自分の意思で動き回れることは素晴らしいことです」と実用化への期待を膨らませていた。
福祉機器展には多くの企業から出展者や見学者として来場者があり、自動車メーカーや家電メーカーなど、ロボット技術で福祉市場に乗り込もうとしている多くの関係者がロデムの試乗コーナーを訪れていた。
これまで「ロボット技術でなんとか市場を創らなければ」という形や責任感にこだわっていた企業のロボット開発部門が多いが、このロデムの登場で「医療福祉という市場の中で、本当にロボット技術が活かせる可能性」に気付いた関係者が多いのではないだろうか。実際、テムザックには福祉機器展以降、さまざまな企業からの提携打診が相次いでいる。
産業型ロボットがかつてのスーパーコンピューターのように大型化・高速化を競っていたのに対して、個人個人のネットワークによってパソコンが急拡大したと同じように、自律型ロボットが身近なところでいつでも便利に使えることが市場での普及のポイントであろう。
身近で簡単に使える可能性の高いロデムは、ロボットの実用化・産業化への道を確実に歩き出しそうである。
【松尾 潤二】
*記事へのご意見はこちら