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特別取材

竹に賭けた人生~キタジマ食品(株)・北島社長の挑戦(4)
特別取材
2009年11月 6日 08:03

バイオマスガス発電設備の実現に向けて

 北島社長は従来から、竹エネルギー開発、キタジマ竹コージェネレーションシステムの延長線上で、竹を燃料としたバイオマスガス発電設備を計画していた。竹チップの原料となる竹廃材を熱分解ガス化して可燃性ガスを製造。これをガスエンジンへと供給して、発電と熱利用を行なう、ビニールハウスへの電力、熱、冷熱の供給構想である。
 これが実現すれば、11月~4月の冬季には温水と温風によりビニールハウスの加温を行なう。また、6月~9月の夏季には、吸収冷凍機で温水を冷水に転換してビニールハウスの冷却に用いるというもの。これにより、夏場でも冬場に採れる美味しい野菜を、冬場には夏場に採れる美味しい野菜の製造が可能になるというのだ。
 この計画は画期的で、産業技術総合開発機構(NEDO)の支援も得られたことで、実現に向けて多くの期待が寄せられていた。だが今年の初めに、プラント建設代金が不足したことで、契約していた大手エネルギー設備工事会社の搬入が遅れた。残念ながら、脚光を浴びる寸前に、この事業は一時中断した。
 しかし、「このビジネスの火を決して消さぬように」と多くの協力者が現れ、バイオマスガス発電計画に参画。その将来性に理解を示した県内外の企業が、現在、資金調達の面などで同社を応援している。
 「大変ありがたいことです。これだけ応援していただいているので、実現しないわけにはいかない」と北島社長は語る。バイオマスガス発電設備に使われる竹は、前述の竹堆肥などの製造過程でも使われる竹チップが原料となる。環境破壊につながる竹を伐採してチップに加工し、肥料、電力に変えるのである。これに伴って仕事も生まれ、立派な産業となる。産業のない所に産業を作ることも可能だ。
 「現在、八女地区での竹チップの生産は年間3,000~4,000トンですが、これを近い将来に10倍の3万トンにまで拡大したい。地域で竹堆肥、野菜などを3万トン生産すれば70億円の経済規模になり、町の立派な産業になります」と熱く語る。いずれは全国各地で竹チップ製造が行なわれるようになり、全国50カ所に広げたいというのが北島社長の願い。
 そして、夢は国内にはとどまらない。いずれはアジアに進出して、世界中に広めたいという大きな夢を持つ。「現在、福岡県内には竹林が約2~3万ha、アジアだけ見ても約5,000万~7,000万haもあるといわれています。このような竹林をエネルギーに変えることができれば、CO2の排出量を減らし、地球温暖化を救えることになるかもしれません」。
 アメリカなど世界の一部地域では、竹自体が自生しない国々も多い。だが、竹の生産は物理的にはどこでも可能なため、アメリカでの竹の栽培も近い将来実現するかもしれない。そうなれば、ビッグビジネスになる可能性をも秘めている。現在、同社は中国やタイなどの国々ですでに特許を出願するなど、さまざまな手を打っている。設備に数億円かかるため、まずは自社での設備計画の成功に期待がかかる。

(つづく)

【矢野 寛之】

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