【気になる本、ナナメ読み】 vol.16
同著は、2009年2月22日から10日間の「CMC第13次カンボジアスタディツアー」に同行取材した高橋うらら氏が、日本の子どもたちにカンボジアの現状を伝えるために著した。CMCとはカンボジア地雷撤去キャンペーンの略称で、大谷賢二代表を中心にカンボジアでの地雷被害をなくすために支援活動しているNGOである。
著書の内容は、バッタンバン州キロ38村に住むブンヘインくんの地雷被害の話から始まる。左手を失い、生死の境をさまよいながらも懸命に生き、ついにはCMCが手掛けるラジオ番組「ボイス・オブ・ハート」に出演する。そして地雷のおそろしさを伝え、他の被害者に生きる希望を与えるところまで成長した姿が描かれている。
ほかにも、CMCがこれまで行なってきた活動を中心に、地雷撤去作業の現状やゴミ山での子どもたちの生活がデータや写真を交えて分かりやすく記述されており、また福岡の小学校の子どもたちから寄せられたメッセージを掲載するなど、幅広い内容となっている。
主に小学生が対象で、学校の教材などで使われることが想定される内容。ただ、かく言う評者も現地取材してこの場でレポートを連載したことがあるが、大人でも十分に読みごたえはある。戦争とは、平和とは。そんなことを改めて考えさせられる1冊だ。
【大根田康介】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら