感動がある。物語がある。九州
キャッチフレーズに込められた想い
道州制の九州モデル
―人の流れを横軸に広げ、線から面にしていくためには、もう一段階大きな革命が必要だと思います。その1つとして地域主権型道州制というものが考えられています。
田中 日本は新政権となりましたが、民主党は地方の自主性を尊重するということを言っており、道州制についても前向きに取り組んでいただけるのではないかと期待しております。
九州の場合は「九州地域戦略会議」という組織があり、数年前からいろいろな議論がなされています。「道州制の九州モデル」というものがすでに発表されており、九州は日本のなかでも道州制論議がもっとも進んだ地域であると思っています。
その九州地域戦略会議が最初に産み落とした子どもが九州観光推進機構でしょう。したがって、当機構は、道州制の先駆けとして県境を越えて実現した組織と言えましょう。
道州制についてはそれほど詳しくありませんが、そう簡単に実現するとも思いません。難しいテーマであり、道州の権限と財源の問題があります。権限は裏づけとなる財政の力がなければ行使できませんから。
―それでは、どうすれば道州制が実現すると思いますか。
田中 ここ数年間で九州各県の市町村合併が非常に進みました。そうしたことを踏まえると、このままの県単位であってよいはずがないと私は思います。九州7県はそれぞれ大小さまざまですが、九州は1つの島ですから、道州制を導入するにはもっとも適した地域だと思います。
しかし、先ほど申し上げたように財源などの難しい問題があり、必ずしも簡単にはいかないし時間がかかるだろうと思います。政治家はもちろん、九州の住民の方々にも道州制は必要だ、そちらの方がより幸せになるということを分かっていただくことが大切です。そして、そうした意識を住民全員が持って、道州制実現のために立ち上がらなければ事は進まないでしょう。
これは余談かもしれませんが、今から23年前に国鉄が分割民営化されて各地域にそれぞれ6つの会社ができました。当時は九州、四国、北海道などが自立した会社運営をできるのか非常に心配されていました。しかし、分割して良かったと思うのは、九州という単位で会社を置けば、それまで中央を向いて仕事をしていた状況から、今では自分たちの力で生きていかなければならない状況になり、自立の精神が生まれ、活力がでてきたことです。これはあまり言及されませんが、国鉄分割民営化は道州制の一種の先駆けではないかと思います。
【文・構成:大根田康介】
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