今月10日、電通、博報堂DYホールディングス(以下、博報堂DYHD)の09年3月期の上半期決算が発表された。
<電通>
・売上高7,858億5,800万円(△17.2%)
・経常利益104億6,000万円(△52.7%)
<博報堂DY>
・売上高4,424億7,700万円(△14.0%)
・経常利益10億9,000万円(△81.1%) ※( )は前年同期比
8月30日に行なわれた衆議院選挙の「特需」により、2社合計で100億円近い売上があったものの、その他の広告の単価が下がり続けていることの影響から、両社ともに大幅減となった。マス4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の売上のみに注目してみると、電通が前年同期比で△821億9,400万円、博報堂DYも同△383億5,700万円となり、両社合計分だけでも約1,200億円の広告市場が消失したことになる。
産業経済省の『特定サービス産業動態統計調査』によると、今年8月までの広告業界全体の売上は「18カ月連続マイナス、10カ月連続2桁マイナス」(ともに前年同月比)という惨憺たる状況が続いている。インターネットやモバイルなど、インタラクティブ系広告だけは電通が前年同期比6.5%増、博報堂DYHDが同91.5%増と成長を見せているが、その他広告媒体のフォローアップには程遠い。大手企業の広告費を償却できるメディアは「テレビ」しかないのが現状だ。
そんななか電通は、来年1月1日付で「デジタル・ビジネス局」を新設、同5日付でデジタル関連事業を統括する事業統括会社「(株)電通デジタル・ホールディングス」を設立すると発表した。これにより、社内のデジタル関連機能やリソースを集約し、総合広告会社の強みである統合キャンペーン、クリエーティブ、マスメディアなどを連携させた、統合的かつ高度なソリューションを提供。事業環境変化や広告主ニーズの高度化に即応できる体制を構築する。
マス4媒体の広告価値低下による収益悪化で経営環境が厳しくなる一方の広告会社にとって、残された「開拓の地」はネット広告のみ。2010年以降、経営資源を集中させてネット広告分野の強化を図らなければならない段階にきている。
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