感動がある。物語がある。九州
キャッチフレーズに込められた想い
都市観光地としての福岡
―明治維新以来、日本では中央集権の体制が続いてきました。道州制にする場合は、まず何が必要でしょうか。
田中 国の役割と新しい道州の役割を明確に区分して考えるべきでしょうね。どう考えても、国防や外交については中央政府の専属事項でしょう。貿易は地域によって違うのかもしれませんが、たとえば自由貿易協定(FTA)は条約ですから、地域ごとに各国と結ぶことはできないでしょう。
ただ、九州の場合、地理的に東アジアと近いですから、これを生かした交流や貿易はできると思います。条約事項に関しては、道州でやるのが適しているかどうかは考える必要がありますね。
私は、国があり、道州があり、7つの県があり、そして市町村があるとなれば屋上屋を架すことになりますから、国、道州、その次は統合した大きな市町村があれば良いと考えています。
―福岡の観光に話を落としこみますが、観光させる仕組みが京都などとはケタ違いだと私は感じます。理由は、施設の数や各県の連携などの問題があると思うのですが。
田中 京都や神戸、そして東京などは、外国人からすれば日本のなかで「まず行ってみたいところ」になります。言うなればゴールデンルートです。そういう意味で、最近では九州国立博物館などもできましたが、福岡のいわゆる観光施設はまだまだ少ないと言えます。
しかしそうは言っても、福岡は日本で最も古くから大陸に向けて開かれた都市だと思います。鴻臚館や太宰府天満宮などに象徴されるように、古くから拓かれた都市で、しかも今も栄えているという点では日本でも稀有だと思います。また、観光とは必ずしも観光施設だけを指すのでなく、最近の言葉で表せば「都市観光」という考え方もできると思います。
福岡市の統計では、福岡に訪問する観光客は、私の知る限り10年間で1割強は増えています。また、福岡市に泊まる人は2007年にはおよそ490万人に達しています。都市観光という観点からすれば、おいしいものを食べることやショッピングなども観光です。
たしかに京都などと比べればケタは違うかもしれませんが、九州のなかでも福岡は各地から人を呼び寄せる魅力に富んだ場所だと思います。
【文・構成:大根田康介】
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