<地方で極楽往生者は「官公庁勤め」ばかり>
宮崎県日向市立美々津中学校・昭和38年卒の同窓会に出席した。4クラスで180名余の同窓生がいたが、17名が鬼籍に入っている。今からは毎年、2~3名は亡くなっていくだろう。参加者は70名内外であった。小学校から教えてもらっていた恩師は、85歳になる。50年前から酒びたりであったこの師匠はまだボケもなく毎日、日本酒を飲んでいるとか。幸せな先生である。年金にも守られているから不自由はない。
我々の田舎の進学率を振り返ると、80名が『金の卵』として中卒で就職をした。100名が高校に進学したが、普通科・工業科・農業科…千差万別の選択であった。私立高校の進学が20名くらいいたようだ。四年制大学に進学したのが、30名前後というところだ。高校を卒業して、日向市役所に就職した者が2名いる。また大学を出て、宮崎県、県警、日向市役所に勤務したのもいる。大学進学者で教育学部専攻は、我々の進学組では「二番手」である。彼らが宮崎県の小・中・高の教育関係に配置された。
言いたいことは、我々の世代で故郷に残り、役人(教職員を含む)に就いた者たちは、成績面では「二流」だったのである。ところが、同窓会のために田舎に帰ると、これらの官公庁OBたちの羽振りのよさがよーくわかる。引退しても行動的な暮しをしているし、顔色がよい。高校をリタイアした友が、「昨年は夫婦でロンドンに半年滞在していた」との自慢話をしていたのを聞いて「俺も道を間違ったのだろうか。若いうちにUターンすべきであったな」と自問自答してみたが、過去に戻れない。
サークルが一緒だったA子は、役場で6歳年上の男と結婚した。来年3月まで、役所に嘱託で残るとか。独身を貫いたB子が囁く。「Aちゃんはね!!旦那さんと合わせて7,000万円もらったようよ。年金も2人で70万円あるんだって。1年に2回は海外旅行に行っているそうだわ。宮崎の田舎では、役人だけが優雅よ。老後だって贅沢な暮しができるし。天国に行けるのもあの人たちだけよ。彼らの暮らしを税金で賄ってもらえるなんて不公平だわ。児玉君!!Aちゃんより私の方が優秀だったよね」と確認を求めてきた。「いーや、君の方が成績ははるかに優秀だったよ」と即答して、不満を解消してやった。
<中小企業経営者は報われず>
故郷に残り、役所勤めした同級の連中は「二級戦線」であった(彼らの恵まれた環境に『妬み』を持った表現をして悪しからず。人間の性根は、すぐに嫉妬する。「彼らはそれだけ現役時代に貢献したのか」と問いただしたい)。しかし、田舎に踏みとどまったおかげで「極楽往生」のシルバー生活を迎えようとしている。彼らとしては、結果オーライの決断というか――いや、成り行き任せが真相だ。ともあれ、彼らの老後を支える地方の財政負担は、過重になるであろう。
都会で悪戦苦闘をしている中小企業経営者の老後は悲惨だ。過去において、たくさんの従業員たちの飯を食わせ、雇用問題という社会問題の解決の一端を担ってきた。利益を出せば、苦しい資金繰りのなかから納税もきっちりとやってきた。あーそれなのに、経営者として、苦労に報われる水準で年金生活が保証される確率は5分の1ではないか!!中小企業経営者たちの老後生活を、地獄に落とすような状況をストップさせる必要がある。
(つづく)
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