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天才投資家ウォーレン・バフェットが注目する中国の電気自動車メーカー(5終)
未来トレンド分析シリーズ
2009年11月14日 08:00
国際未来科学研究所代表 浜田和幸

 このヘッジファンドの社長、ガイ・スパイヤー氏曰く「我々もBYDについてはいろいろと調査してきた。創業者で技術者でもある王社長が中国政府との間に太い人脈や情報源をもっていることも判明している。現在、中国では7番目に匹敵する自動車メーカーだが、やはりもともとが電池メーカーであったことが懸念され独自に投資をするという決断を下すことができなかった。しかし、バフェット氏が先導役となってくれたおかげで、我々も安心してBYDの未来にかけてみようという踏ん切りがついた」。

 BYDはすでに電池メーカーとしては確固たる基盤を確立している。携帯電話メーカーであるモトローラーやノキア、サムスンに対しては最大の部品供給メーカーとして高い評価を得ているからだ。そんな中、新たに自動車業界に参入したわけで、従来の欧米や日本の自動車メーカーとは一線を画した市場戦略が有望と期待されている。

 バフェット氏やマンガー氏のアドバイスを得て、BYDは近くアメリカ市場にも本格的な参入を計画しているようだ。バフェット氏は傘下企業を通じて電気自動車の普及に欠かせない充電ステーションのネットワーク整備にも乗り出す模様。

 ことほど左様に、米中の協力体制はビジネスの現場で、猛スピードで進みつつある。トヨタやホンダ、日産といった日本の自動車メーカーも環境にやさしいハイブリッド車で先行してきたものの、油断をすればしたたかな中国メーカーにいつ何時追い越されることにもなりかねない。

 王社長は「2025年までにGMやトヨタを追い落とす」と強気の発言を繰り返している。先に紹介したF3DMとそのアメリカ版のe6は1回の家庭用の充電によって400キロまでの走行が可能と言われている。アメリカで生まれ、日本で進化した自動車産業であるが、今後は中国の独創力で新しいエコカー時代に突入することになるかもしれない。

 そんな中国の底力に対し、天才投資家のバフェット氏や彼を支えるマンガー氏らが熱いまなざしを寄せ、その将来性を見込み積極的な投資を積み重ねていることに我々も注目しておく必要があるだろう。

(了)

【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
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 国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。

 ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊はオバマ新政権の環境エネルギー戦略と日本への影響を分析した『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)。近刊には『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
 なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
 テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
 その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
 また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。

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