多くの市民からの反対の声を無視して進められる「こども病院」の人工島移転。その成否を握るPFI事業者選定をめぐり、「九電工」(福岡市)が代表企業として手を挙げるとの観測が広がっている。
こども病院建設をめぐっては、同病院現地建て替え工事費の水増しに大手ゼネコンが関与したことや不況の影響もあって、当初計画では大手ゼネコンがPFI 事業者に手を挙げることは難しいとされていた。市側は、計画を遅らせPFI事業について当初の事業内容を大幅に減らした新たな実施方針を策定。今月10日に「新病院整備等事業実施方針の説明会」を開いた。こども病院で開かれた同説明会にはゼネコン、銀行、設計会社、介護関連企業など39社が参加。「九電工」も参加していた。
市関係者によれば、九電工は早くからこども病院PFI事業者に注目していたとされ、新方針による事業者の代表企業に手を挙げることが確実だとしている。他のグループが手を挙げた場合でも「九電工」が工事に参加することは間違いないのだという。
「九電工」は、熊本合同庁舎や鹿児島県川内市の「汚泥再生処理センター」などのPFI事業に積極的に参加・落札しており、同社の橋田紘一社長がPFI 事業への参加にことのほか熱心であることも事実である。
しかし、関係者が注目するのは橋田社長と吉田宏福岡市長との蜜月である。両者は、ともに慶応大学OBの集まり「三田会」の仲間であり、吉田市長が西日本新聞記者時代から家族ぐるみの付き合いだったという。福岡の経済界が吉田市長に一定の距離を置くなか、橋田氏は吉田市長支持を鮮明にしてきたと言われる。
手を挙げるところがないのでは、と見られていたPFI事業者に「九電工」が名乗り出れば、こども病院事業に光が見えるのは事実である。吉田市長への側面からの支援と指摘する向きもあるほどだ。
こども病院PFI事業者の決定に注目が集まる。
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