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最後は反対で終焉─(株)ドゥイットナウ再生案否決で破産へ(下)
特別取材
2009年11月18日 08:58

再生計画案否決で落日

 09年6月に入り同社の再生計画案の中で権利の変更及び弁済方法について、権利の変更は
 (1)元本300万円以上の再生債権については、再生計画認可決定が確定したときに、元本の95%に相当する額及び利息・遅延損害金の全額について免除を受ける
 (2)元本300万円未満の再生債権については、元本の15万円を超える部分及び利息・遅延損害金の全額について免除を受ける
 弁済方法については、
 (1)元本1,000万円以上の再生債権については2010年~2014年までの毎年9月末日までに免除後の金額の20%に相当する額
 (2)元本1,000万円未満かつ300万円以上の再生債権については2010年9月末日までに10万円、2011年から2014年までの毎年9月末日までに免除後の金額から10万円を控除した全額の25%に相当する額
 (3)元本300万円未満の再生債権については2010年9月末日までに10万円、2011年9月末日までに5万円
 以上のように分割して弁済することを表明している。
 09年9月9日、10月20日に渡り2回の再生計画案認否の債権者集会が開催された。結果は2回とも再生計画案は否決。同日再生手続廃止決定が福岡地裁より同社に下された。今後は破産に向かう手続が行われる。
 再生債権者集会における議決権行使状況を取材したところ議決権の総額14億312万7,963円。可決に必要な2分の1相当額7億156万3,982円。賛成額6億5,333万7,020円。反対額6,213万1,963円。(2社いずれも金融機関)2分の1までに4,822万6,962円不足した。債権者集会に欠席した6社の議決債権額は合計で6億8,765万8,980円。この6社は、事実上反対と言えよう。出席者34人中32名が賛成したが、金額が足りず否決され、民事再生法第173条の3で「議決権者の議決権の総額の二分の一以上の議決権を有する者の同意」の条文に抵触したため、今回の廃止決定に至ったのである。
 同社をよく知る関係者は、「なぜ認められなかったのだろう。再生の道半ばであるが蔀氏も頑張っていたのに…」と首をかしげる。一方「名うての経営者であった蔀氏は、なぜ根回しをしなかったのか?以前、増資のために1週間で1億2,000万円の資金を集められる豪腕を持っていたのに…。欠席したのは、ほとんど金融機関。きめ細かくネゴすればクリアできたのではないか。残念だ」と語るのは、ある経営アナリスト。このコメントに全てが集約されていると言えよう。飲食業界ベンチャーで寿司業界に一石を投じた同社は、あっけなく幕を閉じた。

無知?無関心?策略なのか?

 民事再生法における再生計画案が認められるには出席議決者数の過半数と確定議決権金額の2分の1相当額のどちらもクリアしなければ計画案が可決されない。そこで厄介なのが“欠席”である。欠席の時は人数にはカウントされないが、議決権金額には反映されている。よって欠席するとその額は当然ながら計画案賛成側にも反対側にもカウントされない。少額の債権者なら影響は軽微であるが、大口債券者が“欠席”という行為を行うと対象となる会社の命運を掌握してしまう。政治の世界に例えると議会における法案や予算案そして首班指名時におけるキャスティングボードに似ているであろうか。監督委員曰く「欠席は今回の結果に関わりはない。議決権総額の2分の1をクリア出来なかったことは事実」。
 しかし、今回のドゥイットナウの件に関しては取材を通じてやはり「何故再生計画が認められなかったのか?」と疑問が残る。同社を擁護しているのではない。民事再生法の開始後、粛々と営業を続け再生計画案を数度補正・強化し、また財務面でも特に問題(粉飾など偽装)もなく経営を行っていた。客観的に見ても再生計画案は可決されるであろうと予想していた。それを証明しているのは32名もの賛成者の存在だ。議決権を持つ債権者は40名。会社の数ではクリアしていると言っても過言ではない。蔀氏はさぞ無念であったことであろう。
 過去に再生計画案が認められず破産に至った例は記者も見てきた。経営者が申請後も放漫経営を続ける。粉飾決算を続ける。債権者や従業員の支持を得られない不誠実な行動の数々など、経営陣の問題で計画案が頓挫して破産するケースである。しかし、今回のケースは少し違う。“真面目”に経営を行ってきたはずなのだ。
 今回欠席したのは前述したとおり金融機関、「サービサー」である。民事再生法の仕組みを知らないとは考えられないので、無知による欠席ではないと考えられる。策略も考えられない。策略なら金融機関が横一線で欠席するか反対する行動を取るだろう。では無関心ということか?同社が再生しようが破産しようがどうでも良いという態度。95%債権放棄しなければならなのであれば、どちらに転んでもあまり変わりないことから欠席したとの見方である。
 前出の経営アナリストが語るように、どちらでもよい状況下であったなら、蔀氏は6社に掛け合って計画案に賛成してもらえるようなアクションを取るべきだったであろう。また同社は再生計画案廃止決定の3日後郵便事業(株)の代理人から08年10月に発覚した心身障害者用の低料金第三種郵便制度を悪用した事件に、同社広告主分と思われるダイレクトメールが22万3,027通含まれていたという通知を受け、法的手段による係争の公算が高まってきた。地元宅配すしの先駆者でその名を馳せたベンチャーのあまりにも悲しい結末である。

【河原 清明】

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