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コダマの核心

地獄からの生還(21)~自民党福岡県連を地獄から救う「切り札」は蔵内勇夫氏(前)
コダマの核心
2009年11月19日 13:20

<筑後市長選・圧勝の功労者は蔵内氏>

 8日、筑後市で市長選挙が行なわれた。自民党筑後支部や公明党などが推薦する中村征一氏が、民主党推薦の元市議会議長・弥吉治一郎氏に6,000票の差をつけて圧勝した。前回の選挙において立候補した弥吉氏は、前市長桑野氏に300票の差まで追いつめた実力者である。また、今回は民主党の人気に乗じて推薦を取りつけたことで、弥吉氏の善戦が期待されていた(今回の衆議院福岡県7区の選挙において、筑後市では民主党の野田氏の方が自民党の古賀氏を上回っていたのだ。他の市町村では、どこも自民党票が多かった)。
 一時、弥吉氏が優位という説も流れたが、このような大勝利を誰が仕組んだのか。それは、筑後市を基盤に選出されている蔵内勇夫氏の演出で感激のドラマが生まれたのだ。筑後市長選の勝利は、沈滞してしまった自民党陣営に自信も与えた。いわば、地獄の崖っぷちに立っている自民党福岡県連に、活気を蘇生させる役割を果たしたのだ。筑後市という一局面の活性化に留まらない効果を生みだしている。そして、『辣腕・蔵内』の神話を強固にする戦いでもあった。

<民主党をかき回す>

 民主党県連幹部たちは、今回の筑後市長選の敗北の「本質」をどれだけ理解しているのであろうか(7区の関係者は理解されているが)。平和惚けしている民主党の組織体制を悪用・分断させる蔵内氏の巧妙な戦略が、筑後市長選において同氏陣営・中村市長を誕生させたのだ。
 同氏の戦略の一手は「弥吉氏の民主党推薦阻止」に凝縮していた。「民主党推薦で選挙の全面展開をやられれば必ず負ける」という認識を抱いていた。だからどうしても、民主党推薦の「錦の旗」があがるのを食い止めることが至上命令であった。
 事情を知らない人たちは「弥吉候補は民主党推薦ではなかったか」と不可解な反応するだろう。詳細を説明すると、選挙最後の局面では『民主党推薦』のかたちにはなった。ところが、選挙戦前から「民主党推薦の弥吉です」と連呼することができない泥沼に陥ってしまった。また、選挙戦に突入して「民主党推薦」の振る舞いをしたら、警察から警告を受ける事態を招いたことで、陣営は出鼻を挫かれ意気消沈してしまう。ここで勝負あった。
 なぜ、『民主党推薦』の錦の旗が有意義に活用されなかったのか!!民主党県連の機関決定が大幅に遅れたからだ。ただ遅れたのでない。県連常任会の決定が意図をもってサボタージュされたのだ。『推薦』の切り札が公然として活用できるようになったときには、弥吉陣営にとって「時遅し」であった。自民党と民主党とは、いわば政権取り合いの敵味方関係にある。「敵の陣営に蔵内氏が策謀できるのか」という疑問を誰しも抱くだろう。
 しかし、それが可能なのだ。
 蔵内氏は、立場や思想信条が違ういかなる人物とも、平気で付き合えるという特技を有している。対等の付き合いをして、義理人情に厚い。とことん面倒をみる。貸しもたくさん与える。そうなると、蔵内氏の掌握下に身を委ねることでしか生きていけない人たちも数多く発生する。そのなかから、適材適所、利用していく。敵の民主党にも、「駒扱い」される要人の存在もあった。だからこそ、『民主党の平和惚けの幹部たち』は、蔵内氏の非情な辣腕ぶりを見、その爪の垢を飲む必要があるのだ。

(つづく)


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