ホテルは観光を映す鏡
対アジア戦略における使命
今年3月1日に開業10周年を迎え、最高の施設・最高の料理・最高のサービス(BestA.C.S)をモットーに進化しつづける(株)ホテルオークラ福岡。九州を代表するシティホテルの1つとして、多くの観光・ビジネス客を魅了している。そんな同ホテルの代表取締役社長・徳安弘明氏に、観光におけるホテルの役割を中心に話を聞いた。
九州として何を打ち出すか
―御社の立場から見て「観光立国・九州」を確立するために、何が必要だと感じますか。
徳安 ホテル業を通じて観光の仕組みをつくるという我々の立場から見れば、ツーリズム産業全体のなかでホテルにいかなる役目があるのか。また、政府が掲げるビジット・ジャパン・キャンペーンのなかで九州はどのような特徴を出していくのか。そうした観点から観光について考えていく必要があると考えています。
とくに、都市観光という点ではホテルが実態をもっとも反映しており、ホテルが観光を映す鏡という一面があります。九州の観光とは言っても、京都のように古刹が揃っているわけではなく、東京のように企業を主体とした先進産業が充実しているわけでもありません。こうしたところに比べると、まだまだ十分ではないでしょう。
そうしたなか、九州の観光はまだまだ開発の余地はありますし、九州内でも各都市がバラバラに動いている感は否めませんね。古刹にしても見せ方がまだまだ足りていません。1,000年以上も大陸の窓口であり、国際都市としての下地はできているわけですから、それを現代に生かせている部分が少ないなとは感じます。
―九州観光推進機構という組織が設立され、九州内で一体感を出すために努力されています。
徳安 要は、九州として何を打ち出していくかということです。それぞれの地域や各県が打ち出していくものを、さらに連携してやるということで機構ができたのだと思います。九州は、地域ごとに歴史的なものや自然風土から生み出されたすばらしいものがたくさんありますが、アピールや連携がまだまだ足りないような気がします。
九州の観光に特化して見ると、「対アジア戦略」がこれから大きなウエートを占めてくるでしょう。では、東京や京都などとは違ったものを打ち出し、アジアからの観光客をひきつけるための九州の魅力とは何でしょうか。たとえば東京には秋葉原があり、日本の最先端の電気製品が買いたいという場合はここに行くでしょう。九州でも秋葉原に代わるようなもの、本当にアジアの方々に利益ないしメリットを与えられるものが必要だろうと思います。
【文・構成:大根田康介】
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