昨年10月、「宮川・淺川経常建設共同企業体」が落札した九州地方整備局(以下、九地整)発注の『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)』。落札の裏には九地整と九地整OBそして政治家の影がちらつく。
報じてきたとおり、昨年10月まで宮川建設(福岡市中央区)には元九地整課長のT氏が『副社長』として在籍していたのである。さらにT氏は、自民党港湾族の大物・泉信也参院議員の福岡における秘書的存在だったことが明らかになっている。泉議員は旧運輸省で港湾局開発課長や第四港湾建設局長などを歴任し、参院議員に転身している。同じ役所の人間として泉議員とT氏に関係があったことは、T氏自身が認めており、泉議員が参院に初出馬した時から懸命に支援してきたのだという。T氏は九地整を辞した後、大手マリコン「五洋建設」勤務を経て「宮川建設」副社長を退職するまで、『港湾事業』一筋に歩んだことになる。この間、「福岡県港湾建設協会」の事務局長も務めている。
T氏には、九地整内部の人間にしか分からないはずの発注工事における「調査基準価格(最低入札価格)」の入手ができたのではないかとの疑念が生じる。役人OBと族議員側近の顔があればこそである。宮川建設が正式な取締役に就けず、T氏を9年間も「副社長」として遇したのには、それなりの理由があるはずだ。宮川建設側は、データマックスの取材に対し、「弁護士」を通じて「T氏(実際の回答は実名)とは、宮川建設の先代社長および現社長が20年来の友人であった関係で入社していただきました」と回答してきたが、なぜ取締役に就任させなかったのかは疑問である。さらに、宮川建設と泉議員の強い結びつきを証言する関係者は少なくない。事実、同社が福岡に来た折の泉議員に、車を提供していたことが明らかになっている。
政治団体「松原の会」(福岡市)をめぐっては、T氏と淺川組の九州営業所長が。それぞれ代表、事務担当であったことも判明している。
次稿では、T氏への直接取材から浮かび上がる「港湾事業をめぐる政・官・業の闇」に迫る。
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