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口頭クレームで国の工事が1年延長の不思議(福岡)
社会
2009年11月16日 09:47

 「たこの稚魚がだめになる」。九州地方整備局の職員は、「宮川・淺川経常建設共同企業体」が受注した『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(その2)』が2度にわたり工期を延長し、1年遅れの着工となった理由についてそう説明した。

 同工事は、須崎ふ頭の真横に当たる海域で行われている。図面を見れば分かるとおり、この海域は『航路』にあたっており、いわゆる『漁場』ではない。漁場への影響というからにはこの海域から離れたところに『たこの稚魚』がいることになる。
浚渫工事の施工箇所

 しかし、報じてきたとおり、現在の浚渫工事の技術なら、周辺海域にまで広く影響を及ぼすようなことは少ないとされており、工事ストップの理由としては疑問が生じる。平成16年から継続事業となっている同海域の浚渫工事で、これほどの長期間、工事が止められたこともないという。

 九州地方整備局に確認したところ、漁協側からのクレームは口頭によるもので、文書による要請や抗議はないとしている。国の直轄工事が、口頭による注文で1年も止められたのだ。

 取材を進める中、マリコン業界のいびつな状況と、九州地方整備局をめぐる不適切な事実ばかりが明らかとなっている。同工事を受注した宮川建設(福岡市中央区)で、昨年10月まで「副社長」を務めた元九州地方整備局課長と、自民党港湾族・泉信也参議院議員の深い関係はその象徴でもある。地元建設業界で、政・官・業癒着の構図がこれほど分かりやすく現れたことは少ないとも言われる。

 さらに、工事中断、1年延期に関しては、福岡における港湾事業のドロドロ劇が内包されていた。

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