鳩山・民主党政権も自民党と同じ体質だった。政権奪取まで、散々批判してきたはずの「数は力」の論理で、衆院において「中小企業等金融円滑化法案」(返済猶予法案)を強行採決したのである。
19日昼、前日から審議されていた同法案を自・公の反対を押し切り衆院財務金融委員会で採決。本会議での採決は未明にずれ込んだが、自・公議員が退席する中、強行採決で同法案を可決、参院に送られた。
民主党をはじめ社民、国民新党などは、野党であった自公政権の間、強行採決が行なわれるたびに厳しくその国会運営を批判してきた。「数は力」を否定してきたはずの民主党政権が、実質わずか2日間の審議しか行われていない返済猶予法案を強行採決する理由は判然としない。
あまり望まれてもいないモラトリアム(返済猶予)を言い出したのは亀井金融相だが、法案自体は骨抜きにされ、金融機関に借金の返済猶予を促す程度のものとなった。借り手は、その後の融資ストップを恐れて、返済猶予を言い出すことは少ないとも言われている。
強行採決するほどの法案だったとは思えない。
10年度予算の無駄を洗い直すため、政府・行政刷新会議による「事業仕分け」が進んでいる。これにしても、一部ではあるが「力」を背景の「理論なき予算削減」が行われている。
「数は力」を過信し、国民の声に耳を傾けなかった自民党は壊滅状態になった。民主党が同じ道を歩むようなら、政権の行き詰まりは、意外と早くやってくるかもしれない。
【秋月】
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