売場活性化の一方で、売上げ、利益は減少。 PBは流通不況の福音にはならない。
4. コンビニがPB発信の拠点 セブンアンドアイHD
スーパーのイトーヨーカ堂、コンビニのセブンイレブン、百貨店の西武・そごうを傘下に持つセブン&アイホールディングスが2007年から発売しているPB「セブンプレミアム」。
こちらはイトーヨーカドーのみならず、全国展開のセブンイレブンにも投入され、売上げ、アイテム数ともに急拡大。09年2月現在で、アイテム数は800を超え、年商は1,800億円達している。
同7月にはイオンと同じく第3のビール「ザ・ブリューノドごしスッキリ」を発売。こちらはサントリー酒類(株)との共同開発で、1缶123円。全国1万3,000店余りのグループ店舗網を生かし、プロモーションは行わずにコストを削減、低価格を実現した。
もっとも、同グループは08年8月、苦戦が続くGMSを業態転換し、ディスカウント店の「ザ・プライス」を開業。目下、この業態向けのPBのアイテム数を増やしている。
景気低迷で、消費者がさらなる低価格を求めていることに対応し、PBの導入によって価格競争の中で安定した利益の確保を目指そうというものだ。
アイテムは「焼きのり(10枚177円)」「焼きそば(3食97円)」「カップ麺(67円)」など、食品で約60品目。開発にあたってはセブンプレミアムを手本とし、安全安心、品質、味をキープしながら、より一層の無駄を省いて低価格を実現している。
◎ディスカウントストアも利益確保ためにPB導入
ディスカウント業態のPBで、利益を確保するのは容易ではない。そのため、開発担当者は円の下の「銭」レベルでコストを削減。包装の簡素化から、白、赤、黒限定の色使い、傷のあるのりや割れたせんべいなど「規格外」の採用までと、隅々まで切り込んでいる。
その背景には、味や質が同じで価格が安いなら、傷があろうが、割れていようが構わないという昨今の消費者意識の変化がある。
また、同店ではこんにゃくなどの生産過程で発生する切れ端も、別途「ワケあり商品」として販売。出来る限りメーカーの生産ロスを減らすことで、空いたラインを確保してPB生産の効率を上げるといった工夫も怠りない。
ザ・プレミアムの店舗数は、09年11月現在、10店舗に止まる。一般にこれだけの店舗スケールでは商品開発やコスト削減には限界がある。そこで同グループでは、セブンプレミアムと原料を共有するなど、コスト低減に工夫を凝らしている。
ディスカウント業態は常時NBを低価格で販売しているが、こちらはどうしても利益が薄くなるため、ザ・プライスはPBの導入によって安定した荒利益を確保しようという狙いだ。
同グループにとっても、消費者に対する低価格の訴求と自社にとっての利益の確保。この2つがPBの開発導入の目的になっている。
【剱 英雄】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら