ホテルは観光を映す鏡
対アジア戦略における使命
都市観光とホテル
―日本の観光の現状をどのように見ますか。
徳安 外国人旅行者受入数のランキングについては、アジアのなかでも韓国や台湾、マレーシア、タイにも抜かれて7~8位で推移し、世界ランキングでは30~35位くらいの間で低迷しています。そこが、九州というよりは日本全体の力の入れ方の大きな問題でしょう。2008年10月に観光庁も設立されて大きな弾みになるとは思いますが、いかんせん景気が悪い時期ですので観光立国になるためには時間がかかるのかなと思います。
福岡だけを見てみても、鴻臚館や太宰府などに見られるように古代からすばらしいものがあるはずですが、それをうまく活かせてないのではないでしょうか。観光という点では、大自然のすばらしさもありますし、とくに北部九州は海の幸、山の幸が豊富です。我々は現地にいるため感じにくいのでしょうが、海外のお客さまから見てもよい食材をたくさん持っている地域だと思います。
そういう意味では、京都や東京だけでなく、青森や仙台の方にもすごく貴重なものがあるわけですし、日本列島全体が連携していかなければなりません。それも目的の1つとして観光庁がつくられたのでしょうが、そのあたりを我々が意識して行動することが「観光立国・九州」の確立につながるでしょう。
―そのなかで、ホテルが役に立てることを考えるのが求められているというわけですね。
徳安 国内外の観光客が求めるものが違ってきているなかで、観光とビジネスをお客さまとどのようなかたちでホテルが結びつけていくのか、いかにホテルを使ってもらうかというものを創造していく必要があります。とくに、海外のお客さまに日本の九州ないし福岡のあのホテルがすばらしいという何かを生み出さなければ、九州へ観光にも来てくれません。
そうなると、観光立国を確立していくなかで、とくに都市観光という分野でホテルが役に立てないということになります。我々ホテルサイドからは、そういうかたちで考えています。
【文・構成:大根田康介】
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