国連ハビタット福岡本部インタビュー
住民主体の活動がまちづくりの要
―まちづくりをするとき、主体となるのは国連と住民とどちらなのでしょうか。
星野 私たちがまちづくりを行なうのではなく、あくまでそこのまちに住む人たちが考えるまちづくり、「住民参加型のまちづくり」を行なっています。
これはカンボジアの例ですが、家がどぶ川の上に建っています。この不衛生な環境で子どもが病気になったりするわけです。スラムの状況の改善を目標に、恒久的で、何年も使われていくものを造ります。これを、国連が業者に委託し短期間で造るのは非常に簡単です。しかし、それでは意味がありません。まず、住民を集め、この状況と、この水を使うことがどうして危険なのか、この水を飲むことがどうして危険なのか、この川を歩くことがどうして危険なのかを地域住民全員に理解してもらいます。
そして、1人ではなく組織にお金を預けることで透明性があるようにします。彼らのネットワークや知識を使って、行政にも立ち会ってもらいながら、地域の人たちに地元にいちばん根ざし、安く、それでいて壊れても修復可能な物を作っていってもらいます。この写真では橋を建設しています。1つの橋ができれば、それを造った技術力が養われますので、別の橋を造ることができるわけですね。そうやって、彼らは簡単な工事の技術力を身につけ、安く、質のよいものをつくっていくわけです。ある日突然やってきた国際支援がつくるものよりも、自分たちの手でつくったものの方がオーナーシップがありますから、大切に使ってくれるのです。
話し合いをしている最初のうちは大変時間はかかりますが、こうした方が必ず長持ちし、それでいていいものができることを、私たちは多くの事業の経験から知っています。
この手法の活用が可能なところでは、大体同じような手法を用いていますが、国や地域によって若干違いますので、その土地土地のやり方に任せています。アジア地域は伝統的に地域の皆さんの紐帯が強いですから、住民会議など比較的やりやすいというところはありますね。
(つづく)
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