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【特集:「観光立国・九州」へ】ホテルオークラ福岡社長 徳安弘明氏(3)
特別取材
2009年11月21日 08:00

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ホテルは観光を映す鏡
対アジア戦略における使命

激しい時代の変化

 ―ホテルの種類も目的に合わせて増えてきました。とくに福岡でも、リーマンショック以前はホテルがたくさんできました。

 徳安 海外から日本に来られるお客さまの目的は観光とビジネスがありますが、ホテル側から見れば、シティホテルないしラグジュアリーホテルに泊まるか、ビジネスホテルに泊まるかの2タイプに分かれます。前者は設備もサービスも料理も整ったなかで、海外の方であれば日本的なものに触れ、国内の方であればよいサービスのなかで観光を満喫していきます。後者の場合、ホテルでは寝るだけにして仕事ないし観光に集中します。

 その背景には、ビジネスホテルが次々とできたことがあるでしょう。これは福岡だけでなく、東京でも同じです。こんなに宿泊型ビジネスホテルを作って大丈夫かなと思いますね。反対にシティホテルは福岡では増えません。飽和状態にあるからです。九州もそうですけれど、著しいのは東京ですよね。

 3年くらい前は、関東圏域では外資系が圧倒的に強いというか、勢いがありました。今はもう見る影もありません。旧御三家、新御三家などはもう関係なく、すでにホテル再編の時期に入っているのです。これは単にホテル間競争ということではなくて、あくまでも宿泊するというホテル本来の目的がお客さまのなかで変化しているからです。

 とくに外資系のホテルは、2、3年前なら最低1泊7~8万円していた宿泊料金が、今ではおしなべて5万円以下に実勢価格を落としています。私は、おそらく東京の最高級ホテルですらラックレート(定価)ではもたず、4~5万の低価格で行くのだろうと思います。極端な言い方をすれば、再び同じ状態に戻らないでしょう。それだけ時代の変化が激しいのです。

 ―そうしたなかで、ホテルが観光に果たす役割とは。

 徳安 それは新しい時代に即した料金体制、サービス体系をつくり、各都市のホテルや観光協会が連携し協力する体制を整え、ビジットジャパンが目指す訪日外国人旅行者数1,000万人の達成に寄与することです。

 旅館はバブルのころから約3分の1に減ってしまいましたが、ビジネスホテルは増えました。去年のデータでは、全国の宿泊施設の総売上額は約3兆円、そのうち2兆円が旅館で1兆円がホテルでしたが、これが逆転してくる可能性はあり、観光業界もかなり影響を受けると思います。

(つづく)

【文・構成:大根田康介】


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