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特別取材

支援国主導ではなく、住民が参加する新しい援助のかたち(4)
特別取材
2009年11月24日 08:00

国連ハビタット福岡本部インタビュー

住民の組織化とその波及効果

 ―住民主体の組織づくりというのはなかなか難しく、集会に集まってもらうのも大変なように感じますが。
女性たちの組織化
 星野 私たちが活動する国や地域はもともと民主国家ばかりではありません。たとえばこれまで独裁政権だったイラクの人たちは突然「住民主体」といわれると戸惑うわけです。そういう考え方をしたことがありませんから。彼らには、一から教えていきました。慣れてくるとたくさん意見も言ってきますし、まとまっていきました。イスラム圏のように男女一緒に話し合いを進めていくことが難しいところでは、男女別の集まりを開いて、そこで女性の意見を別に出してそれを集約しています。住民は、地区のリーダーなどに集めてもらいます。自分の生活する家の問題なので、無関心なことはありません。積極的に意見を出してきます。しかし、住民全員が賛成ということは無理なので、たとえば働き手を失った家族などの生活弱者が、優先的に環境の整った住居を確保できるような優先順位をつけます。住民全員が納得できる100点にはいきませんが、70点に近づける努力をしています。

 ―住民組織を作るとその波及効果はあるのでしょうか。

 星野 コミュニティで組織をつくると、復旧支援のときだけの一時的な組織ではなく、継続してその組織が使われるようになります。ものを運ぶ こどもたちたとえば、災害復旧で家造りを行なった組織が国連の手を離れて、自分たちで別の仕事をするようになると、先生の先生となり、その組織のメンバーが別のところで家づくりを教えるようになっていきます。そういった波及効果が見られます。いつも住民の組織化が100%うまくいくとは言えませんが、こうやって何かをやっていけるコミュニティは結束力が強くなっていきます。

 ―支援国の都合によって事業が進められていると報道されることがありますが、それについてどう思われますか。

 星野 たとえば国際支援によって建てられた施設が壊れると誰にも修理できなかったり、使い勝手が悪かったりとか、現地の人たちの文化・風習に合わなかったということがあったのではないでしょうか。また、災害後のまちの復旧というのは大変急ぎますし、緊急シェルターのようなものについては、時間がなかったいうケースもあったと思います。しかし、まちの住まいやインフラなどの場合は何十年も使いますから、住民本位のまちをじっくり考えてつくっていかなければいけないですね。

(つづく)

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