伝えたい、日本の文化 楽しんでもらいたい、日本の食
これまで、福岡・博多の観光を支えてきた大きな要因のひとつに豊かな食文化が挙げられる。創業80年以上を誇る福岡・中洲の老舗郷土料理店「博多石焼 大阪屋」は、大正15年に産声をあげた。以来、福岡・博多の食文化の一翼を担ってきた当店の女将であり、「博多ごりょんさん・女性の会」の会長も務める同社代表取締役の西川ともゑ氏に、福岡そして九州の観光について見解を聞いた。
元気な町・博多
―観光という視点で、福岡とそれ以外の地方で違いを感じることはありますか。
西川 9月4日に長野県で全国商工会議所女性会連合会全国大会があり、10月15日には宮崎県日南市で九州商工会議所女性会連合会がありました。私はこうしたことでよく旅行に出かけますが、そのなかで思うのは、地方は相当努力しなければならないということです。
私は博多のど真ん中に住んでいます。地方から来られたお客さまに「博多は元気がある町ですね」とよく言われます。たしかに、地方に行くと「ここは何の産業があるのだろう」と思ってしまいます。
なぜ女性会が地方で行なわれるかと言えば、地方の活性化につながるからです。この前の日南市では170人参加しましたが、会合の中には3,000人の会もあります。女性が集まると物をよく買いますし、持ちきれずに宅急便で送るくらいです。とにかく買いたいものを買います。日本にはそうした産物が各地にたくさんあります。
悪いんですけど、東南アジアではそうしてまで買いたいと思う産物、とくに食べ物関係はありませんね。反対に、海外の人たちが日本に来られると、ブランド品にしても食べ物にしても本物を買いたいと言われます。
―そのなかで、大阪屋の女将としてどのような努力をされてきましたか。
西川 当店は今年で84年目になりました。私が店に入ってから30年近く経ちます。博多でしか、当店でしか食べられないものを出し続けたいと思い、日々精進してきました。
博多はPETなど医療も完備されています。たとえば中国の高額所得者の人たちが、治療や人間ドックを受けながらおいしいものを食べる。観光を盛り上げるためには、そうした海外からの受け入れ体制もこれから必要でしょう。
そういう意味では、博多はコンパクトにできており便利な都市ですよね。検診を受けながら観光をエンジョイできますし、少し足を伸ばせば私の大好きな温泉もあります。
文・構成:大根田康介
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