去る11月4日から東京ビッグサイトで開催された「2009年中小企業総合展」を見学し、日本の底力を実感したものである。「100年に1度の経済危機」とか「大恐慌の再来」といった危機感をあおる風潮に多くの日本人が飲み込まれているようだが、「選りすぐり」と銘打っているとはいえ、結集していた500社の中小企業が持つ多様な技術の数々には圧倒された。
未来の技術に賭けるこれだけの熱意とひた向きさがあれば、日本は必ず世界を不況のどん底から引き上げる牽引車になると思わずにいられなかった。そんな明るい展望と自信を提供してくれた素晴らしい企画であった。
なかでも、新エネルギー・省エネルギー関連の展示コーナーは圧巻であった。正直いって、驚くとともに感動させてもらった。パナソニックやシャープなど大企業ならいざ知らず、これまで名前を聞いたこともないような中小、地方企業ばかりであり、それほど期待せずに訪れたのであるが、認識を一変させられた次第である。こうした縁の下の力持ち的な中小企業があるからこそ、大手有名企業も世界市場で勝負し、成功しているのではないかと確信した。それほど、日本の中小企業に対する見方が改められた瞬間だった。
天然資源が乏しいにもかかわらず、その弱点を技術力や製造力、そしてなんといっても人の和という団結力でカバーし、世界第2の経済大国にのし上がった日本。しかし、これからは従来のような重厚長大の製造方式では生き残っていけそうにない。地球環境問題や世界的な経済危機の影響もあり、環境に優しい製品や省エネ・リサイクル技術が未来市場の主役になることは間違いないと思われる。コスト競争も一段と厳しくなるだろう。その点、今回の展示会にて最も輝いていたのはLED(発光ダイオード)を使った新製品の数々であった。
【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。
ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊はオバマ新政権の環境エネルギー戦略と日本への影響を分析した『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)。近刊には『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。
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