売場活性化の一方で、売上げ、利益は減少。 PBは流通不況の福音にはならない。
2. 新発想で誕生したPB、無印良品
ダイエーが立て続けに価格訴求型のPBを導入する一方、西友は既存NBへの対抗軸として「ノーブランド」の開発に打って出た。それが「無印良品」である。
1980年、西武セゾングループの総帥、堤清二は、グラフィックデザイナーの故田中一光に「ノーブランドで高品質」のPBをグループ傘下のスーパー西友で発売したいと、開発を持ちかけた。
当時、池袋の百貨店という野暮ったさを払拭すべくイメージ戦略の強化を進め、かつ脱・大衆消費社会を志向して文化路線を突き進んでいた西武セゾングループは、商品開発一つをとっても従来の小売業とは違った発想で取り組んだ。それが無印良品であり、田中一光の起用だった。
無印良品は、コピーライターの糸井重里、アートディレクターの浅葉克己、イラストレーターの石岡怜子といった気鋭のクリエーターを多数起用し、西武ブランドを魅力的に発展させたセゾングループの風土で醸成され、見事にマーケットを開拓した。
実際にそれほど価格は安くないのに、「わけあって、安い。」という小池一子のキャッチコピーのもと、スーパー系ブランドとしては瞬く間に全国的な知名度を擁するまでになったのである。
【剱 英雄】
*記事へのご意見はこちら