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特別取材

PB(プライベートブランド)がもたらした功罪(6)
特別取材
2009年11月30日 14:05

6. ブーム終焉後は小売にとっての正念場

 では、小売業にとってPBは、どう位置づけられていくのか。短期的には、やがてPBブームは収束し、メーカーによる新商品の開発なども手伝って、売上げは落ちていくと思われる。
 PBが売れているのは、価格が安いのがいちばんの理由。しかし、小売各社がPBに参入したことで、同程度の価格が市場に広がり、当初の安さ訴求は次第に弱まっている。
 また、メーカーもじっとしてはいないだろう。いくら買い取りで、生産効率もいいからといって、新たな商品を開発しなければ、メーカーとしての立場は揺らいでしまう。当然、価格でも十分、PBに対抗するものを発売していくはずである。
 ファストファッションの特集でも書いたが、昨今の消費者はもはや1~2割安いぐらいでは動かない。3割以上の割安感がない限り、消費者はNBの方を選択する可能性が高い。とくにブランドを崇拝する中高年になると、なおさらである。
 また、バブル経済が崩壊して不況に突入した時も、ダイエーがPBで発売したオレンジジュースやビールの「バーゲンブロー」は飛ぶように売れた。ただ、それはメディアが一斉に取り上げたからで、決して長続きはしなかったのである。
 日本人の性格として、メディアが報道すれば一気に熱くなるが、逆にすぐに冷めてしまうという面も併せ持つ。最近のPBに対する報道も同じで、メディアが話題性をあおっている部分で売れているのは否めない。

◎ノウハウがなければ売れるPBは作れない
PBビールは海外からの輸入で味が劣化。隣国生産に切り替え
 実際、ダイエーがPB(セービング)として発売したオレンジジュースやビールは、海外から長旅で輸入(ジュースはブラジル、ビールはベルギー)されたため、日本に到着した時点で味が落ちており、とても消費者を恒久的につなぎ止めることはできなかった。
 それゆえ、現在、ジュースは国産に切り替えられ(またはイオン系のベストプライス)、ビールは同じブランドのまま発泡酒に変更されて、近隣の韓国で生産されている。しかし、強力な広告宣伝がなされているわけではないから、売場のなかで埋没している感がある。
 ダイエーのようにその長い歴史のなかで、数々のPB開発を手がけてきてもこの有様なのだから、不景気によるPBブームに乗って商品を開発したからといって、簡単に市場が開拓できるほど甘くないのである。
 時間やコストをかけず、完成までの試行錯誤も繰り返せずに、価格軸だけで開発したPBを市場に投入しても、魅力ある商品としては受け入れられないだろう。
 現在、出回っているPBのなかには、メーカーが企画した商品のうち、二番手レベルの出来で市場に出せなかったものや、一旦お蔵入りしたものを、ラベルを張り替えただけのものも少なくない。こうした商品では消費者を引きつけられないし、消費者が魅力を感じられなければ、恒久的に売れ続けるPBにはなれないのである。

(つづく)

【剱 英雄】


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