問題の浚渫工事の正式名称は『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)』。工事の入札は昨年の10月14日。落札金額は427,100,000円である。しかし、実際に浚渫工事が始まったのは今年の9月。実に1年近く工期がずれ込んだことになる。
国交省の直轄事業で1年も工事がストップすることは異例。しかも着工自体が年度をまたいでしまう場合、それなりの理由が必要となる。着工できないまま年度が変わるのであれば、入札自体をやり直す必要があるとの指摘もある。
しかし、同工事は2度の工期延長を経て、原契約通り「宮川建設株式会社」(福岡市中央区)と「株式会社淺川組九州営業所」(北九州市小倉南区)による『宮川・淺川経常建設共同企業体』が工事を開始する。「経常建設共同企業体」とは、資本額などの総額が20億円以下の会社、または常時使用する従業員の数が1,500人以下の中・小業者が継続的な協業関係を確保することにより、その経営・施工能力を強化する目的で結成する共同企業体である。
入札当時、宮川建設副社長を務めていたT氏は、自民党二階派(今月5日に伊吹派と合流)・泉信也参議院議員の関連政治団体と見られる「松原の会」の代表。そして同会の事務担当者は淺川組九州営業所長である。宮川建設と淺川組は、経常建設共同企業体というだけでなく、泉議員の政治活動面でもつながっていたことになる。
ちなみに淺川組の本社は、泉議員が事務総長を務めてきた二階派の領袖・二階俊博衆院議員の地元・和歌山県だ。
1年遅れで着工した問題の浚渫工事には、こうした背景があったのである。当然、入札当時からきな臭い噂が飛び交っていた。
(つづく)