竹原流の改革とは
―課長の公募には、ずいぶん多くの応募が来たとお聞きしました。それは、市長の考えに共鳴されたということでしょうか。
竹原 考え方の深さとか、現実を見つめる目で判断しましたね。今の公務員にないもの、公務員が捨てたものを強く持っている人を選びました。
―市長からする理想の、あるべき市役所・市職員像とはどのようなものですか。
竹原 私が目指しているのは社会であって、役所が存在することではありません。社会そのものがお互いを支えあう、慈しみあう社会になることを目標にしています。あらゆる組織というものは、そのための一時的な道具でしかありません。社会全体のための道具である役所を私的な手段にして、自分たちの利益を図ってはいけないのです。今の役所は、社会のあるべき姿を芯に置いていないのです。道理や、人間の社会のあり方を広い視点で見ていかなければなりません。役人や政治家が利益を得る特権階級になってはいけないのです。
―その点からいうと、公務員改革はまだ始まったばかりだと思われますが。
竹原 みんな困っている、私も困っている、報道関係者も困っているという感じでしょうね。ただ、私のやることが報道で取り上げられ、話題に上がっただけでも改革の進展と思っています。このような問題はどこの地方自治体も抱えているテーマですよね。私と同じ悩みを持ち、原因に気づいた人たちが講演などに呼んでくれます。私は阿久根市長ですが、阿久根市だけの市長ではないと感じ始めています。私が行動することで、他の人たちが勇気を持つようになってきたのかなと思います。
―本当の改革とは何でしょうか。
竹原 市民がお客さんとしてどれかを選ぶ改革ではなく、自分たちで行なう改革、市民が痛みを感じるような改革でなければいけません。私自身はそこに近づいていると思います。
私の立場はいつも同じですから、住民とともにやっていく姿勢がある方とは一緒にやっていきます。ですから、戦う、排除するといって敵対するというわけではなく、議員が職員と一体となって利益拡大を行なう行動が良くないわけです。行動を変えればすばらしい人になるわけですから。
―総選挙の結果についてどう思われますか。
竹原 政権交代しても、本質的には変わらないだろうと思います。誰がどんな役割をしているか、それを見つめています。真の権力者にとっては、民主党の人気も想定内でしょうね。そこを見つめていかねばなりません。自分としては、それを道具として利用していけばいいのですから。
―マスコミの事前予報がここまで当たった選挙もありませんでしたね。
竹原 市民は自分で自分の空気をコントロールしたことはなく、操作されていると思います。市民が物事を判断して動いたことはないんじゃないでしょうか。しかし、マスコミもお金のために動いてしまっていて、正義のある報道がなされていないように感じます。
(つづく)
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