「宮川建設の仕事やらしていない」。「泉のことで忙しかった」。
T氏の口から飛び出したのは、自らが9年間副社長として在籍した地場マリコン・宮川建設株式会社(福岡市中央区)の仕事などしたことがないということと、自民党港湾族の大物・泉信也参院議員のために籍を置いていたことを認めるという、驚きの説明だった。
2度目にT氏を訪ねた折、取材班は昨年10月に九州地方整備局が発注し、宮川建設と淺川組九州営業所(北九州市小倉南区)で構成される「宮川・淺川経常建設共同企業体」が受注した『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)』について、入札記録を示して質問した。『この工事の落札に関わっていないか?』。
T氏は言下に「知らん。会社(宮川建設)は仕事のことやら何も言わんもん」と工事との関係を否定した。その後、T氏とのやりとりの要旨は次のようなものだった。
記者:1年近く工事が止まることは珍しいが?
T氏:そうでもなかろう。会社は僕には仕事のことは何も言わんから。
記者:どこかが工事を邪魔したのではないか?
T氏:邪魔したんじゃないやろ。稚魚がおるけんね。魚が・・・。
問題の工事について何も知らないと言いながら、工事がストップした理由については、九州地方整備局側の説明と同じことを言う。「魚の稚魚」だ。
さらに、話を聞くと、
記者:本当に仕事にはタッチしていなかったのか?
T氏:タッチせん。仕事にはみんなタッチせん!あほらしか。
記者:それでは9年間、宮川の副社長として何をやっていたんですか?
T氏:秘書やないけど、泉が来るけんね。僕の後輩やけど。あれ(泉氏)は九大出てるけど。局長しとったけんね。僕も国交省やないね。泉のことで忙しかった。
記者:宮川建設の仕事はしていなかったんですね。籍を置いてるだけだったんですね。
T氏:(宮川建設の仕事の)何ばすると?OBちゃ、みんなそうよ。仕事やらしたら大変なことになる。
記者:ほとんど、泉さんのお世話のためだったということですね?
T氏:そうそう。
T氏が、宮川建設による泉氏への事実上の便宜供与を認めた瞬間だった。