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刀剣協会問題大詰めへ 決断迫られる佐々淳行会長(上)
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2009年11月24日 15:00

 細川護煕元首相の祖父・細川護立元貴族院議員や山中貞則元防衛庁長官、橋本龍太郎元首相ら、かつて政界の大物も会長を務めた歴史ある組織が岐路に立たされている。日本刀の価値を判定する唯一の公益法人である財団法人・日本美術刀剣保存協会(日刀保)が、所管の文部科学省・文化庁および元幹部職員と対立して3年。協会の行方が年内にも見えてくる。

<刀剣類の鑑定が利権化>
 「11月9日に臨時理事会が開かれていますが、具体的なことは何も決まらなかったようです。このままなら昨年12月施行の公益法人新法により、いずれ法人資格を失う事態にもなりかねない。そうなったら、協会の権威は完全に失われます」(協会執行部の動きに詳しい会員)。
 全国数十万人といわれる愛刀家はもとより、自宅にある大小の日本刀、短刀がどれほど価値あるものかが気になる人は少なくないはず。ただのガラクタの場合もあれば、数十万円、数百万円の価値をもっている可能性もあり得る。刀剣商に目利きしてもらえば目安はつくものの、一刀剣商による判断の域を出ない。それを客観的かつ詳細に検証したうえ、お墨付きを与えてくれるのが日刀保(以下、協会)だ。
 同協会は戦後間もない1948(昭和23)年、刀剣文化の普及と文化財としての刀剣類保護を目的とする財団法人として設立され、初代会長には故・細川護立16代細川家当主が就いた。現在、会員数は約6,500人。一般愛刀家を中心に刀工、いわゆる刀鍛冶職人や研磨師、それに刀剣商らが会員になっている。東京本部の下、全国都道府県に78支部、海外2支部をもち、博物館の運営やイベント開催、機関紙発行など行なっているが、主要な仕事は刀剣類の鑑定だ。
 鑑定は、銘のあるものはその真贋、無銘ならどの時代にどこで、どの流派の誰(刀工)の手になるものかを特定。保存状態や資料価値も審査したうえ、「保存刀剣」、「特別保存刀剣」、「重要刀剣」、「特別重要刀剣」の4ランクに格付けして鑑定書を発行する。これがいわば『お墨付き』となり、売買価格を左右する重要な要素になっている。
 審査申請は誰でもできるが、そこで得られるランクは「保存刀剣」、「特別保存刀剣」まで。さらなる価値がありそうだと判断、格上げの審査を依頼できるのは、年会費1万2,000円を払っている会員だけの特権だ。最低ランクと最高ランクの差はほぼ10倍。仮に100万円で「保存刀剣」を入手し、「重要刀剣」の申請をして認められれば、取引価格は7~800万円、あるいは1,000万円にもなる。この特権が長年の間に利権化。理事ら一部の有力会員と特定の刀剣商、それに鑑定する学芸部員が一体となって、一部会員が審査請求したものが目立って重要刀剣の鑑定書を得ていることが問題になり、文化庁が指導にのり出したのが10(平成13)年だった。

(つづく)


恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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