穴吹工務店の破綻劇を追うなかで、最も多く聞かれたのは穴吹英隆前社長への不満や不信の声であった。強いリーダーシップと評価される反面、独善的と揶揄され、朝令暮改とも言うべき定まらない姿勢や人の意見に耳を傾けない姿勢に非難が集中していた。取引先ですらこのような不満を漏らすのであるから、クビきりに喘ぐ社員サイドの不満は推して知るべし。先の役員解任騒動も、社長の姿勢に対する内部の反発が根底にあったという。
苦境時に踏みとどまれる経営者には、これまでの恩に報いるべく、必ず周囲の助けがあるものだ。会社更生法申請の直前に代表職から引かざるを得なかった同氏は、これを育む機会に恵まれなかったように感じられる。
【田口】
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