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事業仕分けの功罪
行政
2009年12月 1日 09:07

 2010年度予算を洗い直す政府・行政刷新会議による「事業仕分け」が、9日間の日程を終えた。検討された447事業について、その大半が「削減」や「予算計上見送り」などの判定を受けたが、功罪相半ばする手法だといえる。問題点を整理しておきたい。

 事業仕分けの「功」の部分は、公開の場で、国民の知らなかった予算の無駄や、天下りの実態が暴露されたことことに尽きる。独立行政法人や各省所管の公益法人などに多くの役人が天下り、税金を食い物にしていた現状の一端を十分知らしめたことは、政権交代の成果である。厚生労働省から天下りした官僚への高額給与が指摘され、基金を全額国庫へ返上することを求められた「こども未来財団」などはその代表例である。自民党政権下で安閑と過ごしてきた官僚たちは、事業仕分けという儀式を通じて襟を正さざるを得なくなった。作業がもたらした効果は少なくない。

 一方、仕分け人の選定や、447という仕分けの対象事業選定については、「どうして選ばれたのか」という大きな疑問が残ってしまった。仕分け人として評価が高い人もいたが、「この人に、この分野についての予算を削る知識があるのか」と疑問を感じる人間がいたことも否めない。仕分け人の選定理由も開示すべきだろう。
 また、447という仕分けの対象事業について、「財務省主導で選ばれた」との疑念が消えない。膨大な数の事業や公益法人などの実態については、政権奪取後の短期間に選べるものではない。従来、財務省が削りたかった事業が目立ったのは確かである。対象事業選定の段階から政治主導だったかというと、そうではあるまい。鳩山首相は、来年も「仕分け」を行うと示唆しているが、仕分け人や対象事業の選定は、早い時期から準備し、より国民の理解を得るものであってほしい。

 「罪」の部分については言うまでもなく、科学技術や教育分野の予算削減方針である。次世代スーパーコンピュターや、「心のノート」「英語ノート」への仕分け人たちの議論は、稚拙かつ乱暴であった。現場の声を無視し、情緒的に予算を削ることは、国家の根幹を揺るがす暴挙であると言っておきたい。なにより、「この国のあるべき姿」、すなわち将来への国家ビジョンを示さず、やみくもに予算を削る姿勢は改めるべきだ。

 50年後、100年後の国の有り様を模索するのも国会議員の仕事である。無駄を削ることは必要だが、何を残すべきかの議論も十分に尽くしてもらいたかった。

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