国交省をはじめ地方自治体の公共事業に関し、「総合評価方式」による入札方式が採用されている。建設業界からは、同方式に対する不信の声が上がる。
総合評価方式とは、「価格と品質を数値化した『評価値』の最も高いものを落札者とすることにより、『価格』と『品質』が総合的に優れた施工者を選定する方式」(国交省公表文書より)とされる。
「評価値」とは企業側が提出した工事内容に点数を付けた「技術評価点」(標準点+加算点)を入札価格で除したものである。例えば、問題となっている宮川建設と淺川組九州営業所(北九州市小倉南区)で構成される「宮川・淺川経常建設共同企業体」が受注した『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)』については、標準的施工内容であること(100点)と施工体制が適正であること(30点)に、30点満点で役所側が評価した加算点を加え、業者側が提出した入札価格で除すことになる。
応札可能な企業(あるいはJV)であれば、130点が自動的に与えられると考えられる。しかし、そこで問題になるのが、報じてきた「調査基準価格」(最低入札価格)である。入札金額がこの価格を下回った場合、前述の「30点」が「0点」となり、評価値が極端に下がることになる。業界で言う「ドボン」である。ただし、従来の入札のように「失格」となるわけではない。あくまでも「評価値」の高低で落札業者が決まるのである。従って、入札価格が一番低い業者が落札するわけではなくなってしまう。これは、「会計法」の規定に反するのだが、国交省側によれば、財務省との協議の中で、「特例」として認められたものだという。
低入札による品質の低下に歯止めをかける狙いで導入された「総合評価方式」だが、評価そのものを国交省の「役人」だけで決めることへの不信が募っている。この制度では、役人の「さじ加減」次第で、落札業者は意のままとなってしまうからだ。特に、今回の『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)』のように、落札業者側の役員などに国交省OBが在籍しているケースでは、そうした疑いが生じるのは自明の理。民主党政権がここに手を入れてくるのは時間の問題と語る関係者は少なくない。「官から民へ」の流れが定着するなか、役人主導の「総合評価方式」見直しは急務である。
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